新刊・旧刊をふくめた、まんがレビューblog。 その他、まんがに関すること。 
 
 

とよ田みのる「タケヲちゃん物怪録」は、世界一“不運”な女の子と、妖怪たちの心温まる“ハートフル・コメディ”!

【あらすじ】
世界で一番“不運”な女の子・タケヲちゃんは高校生。
親元を離れ、暮らしはじめたアパート・百鬼荘は“妖怪屋敷”だった!!
そこに棲む妖怪たちが、アノ手コノ手でタケヲちゃんを驚かそうとするのだが…!?


タケヲちゃん物怪録01
とよ田みのる「タケヲちゃん物怪録」(1)(小学館)

体育館で照明が落ちてくる
道路を歩けばスパナが直撃
足をすべらせて頭からガラスに突っ込む…なんて日常茶飯事。

タケヲちゃんの登下校はそれこそ命がけなんだ。

まさに“不運”のデパート
不運ないきさつで“妖怪屋敷”に住むことに…!!


人間を驚かせて、悲鳴を聞きたい
驚いたときに人間が出す“陰の気”を味わいたい。

妖怪たちは次々とタケヲちゃんを襲うんだけど…。
タケヲちゃん物怪録02

まったく動じない。
それどころかお説教w

タケヲちゃん物怪録03
“不運”つづきの人生で、怖いことに鈍感になっていたんだね。


こんなタケヲちゃんが驚いたのは。
逆に“幸福”を感じたときだった。
タケヲちゃん物怪録04
いままで“幸福”を感じたことがなくて。
だからまぶしくてビックリしちゃう。
 
それを知った妖怪たちは。
一転してタケヲちゃんを“幸福”にしようとする…!!
タケヲちゃん物怪録05

タケヲちゃんの“不運”を相殺する“幸運”をもつ座敷童子をはじめ。
人間を怖がらせようとしていた妖怪たちが。
タケヲちゃんを“幸せ”にしようと力を合わせる。

なんて温かくてやさしくて
楽しいやつらなんだろう!
タケヲちゃん物怪録06
“不運”に巻きこみたくない。
他人との接触を避けてきたタケヲちゃん。

固かった表情が、後半に進むにしたがって。
だんだんとやわらかくなり、笑顔まで見せるようになって…。
思わずグッときたYO!
タケヲちゃん物怪録07
世界一“不運”な女の子と、妖怪たちのハートフル・コメディ
超オススメ。

   01:16 | Trackback:0 | Comment:0 | Top

高畠エナガ「Latin 高畠エナガ短編集1」は、直球の感情がハートに響く佳作揃いのデビュー作品集!

【あらすじ的なもの】
“家出してきた”という壊れかけたアンドロイド・ラテンと、同居する青年との心の交流を描いた表題作「Latin」ほか。
ロボットを修理し動かしたいと望む少年と、妖精の出会いを描いた「雪原のネストーレ」などなど全4編の短編集。
表情豊かなキャラクターが魅力のデビュー作品集である。


Latin01
高畠エナガ「Latin 高畠エナガ短編集1」(集英社)

まずコミックスの表紙に惹きつけられた。
表題作「Latin」に登場するラテンの泣き顔

どんな物語なんだろう。
彼女に何があったんだろう。

物語がはじまる予感に、気持ちがグッと惹かれるのを感じました。

そして表紙をめくると、ラテンの笑顔があらわれる。
満面の笑み。

泣き顔から笑顔へ。
感情の“揺れ”。
表情豊かな感情の“振れ幅”に惹きつけられた。

それは4編の作品でも同じ。

表題作「Latin」では、おんぼろのアンドロイドが哀しみをぶちまけ。
Latin02
・「Latin」より

「雪原のネストーレ」では、小さな妖精が強くあろうと決意する。
Latin03
・「雪原のネストーレ」より

「REVERSI」では悪魔が、心の苦しみを吐露する。
Latin06
・「REVERSI」より


底知れない孤独哀しみも。
ふりしぼった勇気決意も。
嫉妬羨望に汚れた気持ちも。

まっすぐに感情に向かいあって。
表情豊かに描きだす。

まさに全身全霊。

この王道を突っ走る感じが新人らしくて。
達者な表現が新人らしくなくて。
魅力なのである。

佳作揃いのデビュー作品集
作者のこれからに期待大である!


ちなみに個人的に好きなのは「猫又荘の食卓」

人の姿になって人間の世界に溶け込もうとするたちと。
一緒に住むことになった人間の心温まる物語。

Latin05
・「猫又荘の食卓」より

人と見まごう姿の猫たちとのひとときが。
可愛くて楽しくて。
ほっこりあったかくなれる物語。

Latin04
・「猫又荘の食卓」より

猫たちに囲まれた“猫ハーレム”状態の主人公。
なんだかいいなぁ…ww

ネコミミメイド喫茶、ちょっと行きたくなったよw
   00:43 | Trackback:0 | Comment:0 | Top

トークイベント「美内すずえと少女マンガを語ろう!」に行ってきました!

5月6日、池袋コミュニティ・カレッジの公開講座「美内すずえと少女マンガを語ろう!」に行ってきました!
美内すずえ20120506_01
(会場にて看板を激写)

美内すずえと少女マンガを語ろう!


おおまかな内容ですが。
元『別冊マーガレット』編集長で『花とゆめ』『LaLa』の創刊に携わった少女まんが界の伝説的人物小長井伸昌さんの講義&美内すずえ先生の対談という感じ。

講義のもとになった本は、小長井伸昌「わたしの少女マンガ史 別マから花ゆめ、LaLaへ」

わたしの少女マンガ史―別マから花ゆめ、LaLaへ
小長井 信昌
西田書店 (2011-08-17)
売り上げランキング: 105756

小長井さんが自らの仕事や、作家さんとの交流を書いた本。
美内すずえ先生ほか、和田慎二山岸凉子三原順くらもちふさこ木原敏江などなど。
そうそうたる面々との仕事ぶりがめちゃくちゃ面白い。

巻末にはお世話になったまんが家さんたちが寄稿した原稿が掲載。
(別マ・花ゆめ・LaLa合同同窓会のパンフ再録)
さらに美内すずえ先生の旅行エッセイまんが10Pも掲載。
(『メロディ』2000年2月号掲載の再録)

美内先生のデビューから「ガラスの仮面」立ち上げにも関わった小長井さんだけに、美内すずえ先生のエピソードもそこかしこに。
気になる方はチェックしていただきたい。


さて、講義&トークの内容をざっと。
(メモと記憶による覚え書き)
美内すずえ20120506_03
(会場内の様子)

・「ガラスの仮面」を立ち上げたときの話。

美内さんは映画「王将」阪田三吉のような、一芸に秀でてはいるが、ほかはなにもできないキャラクターを描きたいと思っていた。
が、その一芸に秀でた“芸事”を何にするかは決めてなかった

美内さんは“琴なんてどうでしょう”と提案するが、小長井さんは却下
理由は、まんがは音が出ないし、なにより画面に動きが出ないから。

美内さんが以前描いた短編「ナオは光の中で」(美内すずえ傑作選14に収録)で、演劇を描いていたことを思い出し“演劇はどう?”と提案。
それでいこう!とあっさり決定

赤い女神 (白泉社文庫―美内すずえ傑作選)
美内 すずえ
白泉社
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これでイケる!という、天から降りてくる感覚。
めったにないその感覚で、確信をもって新連載を決めたものの。
演劇についての知識はほぼゼロ。

だけど美内さんは、あえて取材をしなかった
取材で得るリアリティよりも、想像力の足かせになることを憂慮したのだという。
演劇入門書を購入し、ひたすら芝居を観て
演劇初心者であるマヤとともに成長する気持ちで臨んだ新連載でした。

ちなみに。
「ガラスの仮面」の原点となった短編「ナオは光の中で」は、もともとバレーボールまんがの予定で予告カットまで掲載されていた。
でも美内さんの“演劇の話に変えたい”という無茶を小長井さんが受け入れて実現したという。

…美内先生、無茶すぐるw
でも無茶してくれてよかった!

そして、小長井さんが寛大な方でよかった!w


・「ガラスの仮面」の魅力について

デビュー時から、絵はそこそこだけど(えw)ストーリーは抜群、と美内さんを高く評価してた小長井さん。
読み切り用のネタを惜しげもなくつぎ込んだ“劇中劇”の面白さは当然だけど。

脇キャラの良さに言及してたのがちょっと新鮮でした。
たとえば源造さん。

源造さん。
(大切なことなので二度ww)

キャラ投票で上位にきたこともあって驚いたそうですが。
イケメンを描ける少女まんが家さんは多いけど、お年寄りや地味なキャラクターをきちんと描ける方は少ないとの指摘に膝を打ちました。

美内さんは“キャラクターを描くと、不思議とその人の育ちが立ちあらわれて、どんどん描きたくなってくる”とのこと。

たしかに。
脇キャラいいですよね、とくに水城さんとかww

水城さんのプライベートとか、今度ぜひ描いてほしいですw


それから16Pの読み切りで鍛えた能力にも言及されてました。

『別マ』時代、ページ数の短い16Pの読み切りを何本も描いてて。
「ガラスの仮面」まで70本近くの読み切りを描いていたそうです。

この数々の読み切り作品で、連載を1回1回、キチンと面白くする術を身につけて。
さらにいわゆる“引き”をつくるのも上達したという話。

なるほど…!!
さすが元担当編集だけに鋭いですね!
美内すずえ20120506_02
(会場外、豪華な花)

最後に、あといくつか。
美内さんと小長井さんが「ガラスの仮面」の連載立ち上げの打ち合わせをしたのは、西荻窪の「こけし屋」2F

洋服や小物など、流行は採り入れないようにしていた。(長期連載の整合性がおかしくなる)
が、電話だけはどうしようもないので、バッシング覚悟でケータイを出した。

昔から原稿が遅い美内さん。
デビュー2作目から遅れていたという衝撃の事実www
そんな美内さんからの年賀状は1月10日ごろ、遅れて届くらしいw

さらに美内さんの母上からも年賀状が来て
“娘が遅れてスミマセン”とのひと言が添えられていたというww

…などなど。
とても書ききれないくらいのお話でした。^^


いやー。
でももう少し、聞きたかったな…ということがありまして。

終了後のサイン会で、美内先生に質問させていただきました。

hebitaro あの〜。1つだけ質問があるんですけど。
美内先生 はい、なんでしょう?
hebitaro いま連載って、全体の何%まできてますか?
美内先生 え〜!? うーん…全体の!? うーん…。

(しばらくシンキングタイムw)

美内先生 80…85%くらいでしょうか。
hebitaro ああ、そうですか!
美内先生 ただ、単行本はどうなるかわかりませんけど。

単行本はどうなるかわからない、てww

雑誌での連載が終了しても単行本の刊行がしばらく続く…とかもアリ!?
なんかすげえことを聞いてしまった…。アワワ

ファンの皆さん、残り15%、頑張って見守りましょう!ww

美内すずえ20120506_04
美内すずえ20120506_05
(いただいたサイン。うれし〜♪)

というわけで。
小長井さんと美内先生にサインいただきました♪

美内先生はひと言でいうと“若い”!
活力に満ちていて、サービス精神旺盛。
喋りも上手かったです。^^
またこんなイベントがあったら参加したいなー。


【おまけ】
ちなみに「西原理恵子の人生画力対決」の担当・八巻さんも会場にいらっしゃってたそうです。

まんが家の麻生みことさんほか、業界関係者も多数いた模様。

やっぱ美内先生のご威光、パネエっす!

   00:01 | Trackback:0 | Comment:8 | Top

梶尾真治/鶴田謙二「さすらいエマノン」は、孤独と詩情に彩られた“30億年の記憶”の物語。

【あらすじ】
生まれたときから母の記憶をもっている。
祖母の記憶も、そのまた前の祖先の記憶も…。
30億年、地球の歴史そのものの記憶をもつ少女。
彼女の名はエマノン
旅から旅、時代とともにさすらうエマノンの物語である。


さすらいエマノン03  
梶尾真治/鶴田謙二「さすらいエマノン」(徳間書店)

川で泳いでいる全裸の少女と出会った少年・アツシ。
か…河童!?
さすらいエマノン01
いいえ、それはエマノン

太古の昔、人類の祖先からの記憶を受け継ぎ
30億年のあいだ、子孫から子孫へと。
身体を乗り換えながら生きてきた。

さすらいのエマノン

地球の記憶とともに時代を彷徨いながら。
ときに人々と関係を繋いでゆく。
さすらいエマノン06
ただし場所には留まらない。

同じ車両に乗りあわせた乗客のように。
ひとときを交わして静かに去っていくのだ。

やがては別れる運命と知っているから…。
さすらいエマノン05
世代から世代へ。
母から子へ。
記憶を移し換えてきた、エマノン。

だが、エマノンには双子の兄がいた。
30億年つづいたシステムにバグが発生したのだ。

さすらい続けてきたエマノンに、初めてできた“血縁”。
エマノンは兄に会いに旅立つのだが…。
さすらいエマノン07

30億年の記憶を持ち、さすらい続けるエマノン。
絶対的な孤独の旅路、その哀しき詩情が胸にグッとくる。

河川敷の秋桜の陰に。
下町の路地裏に。
エマノンがいるかもしれない。

そんな不思議な感覚をおぼえました。

さすらいエマノン08
海に流された小瓶のように。
流れ流れゆく記憶の果てに、エマノンはなにを見つけるのだろう。

旅のゆくえを、そっと見守りたい。
そんな作品です。


さすらいエマノン(リュウコミックス)
梶尾 真治 鶴田 謙二
徳間書店 (2012-04-03)
   00:26 | Trackback:0 | Comment:0 | Top

2012年4月に買ったコミックス(新刊のみ)

2月は逃げる、3月は去る…。
そして、あっという間に4月も終わってしまいましたね。
時間が経つのは早いもの。
しっかりと目を見開いて、まんがを目に焼きつけておきたいですね。^^

購入記録1204_01
購入記録1204_02

諫山創「進撃の巨人」(7)(講談社)
綱本将也/ツジトモ「GIANT KILLING」(23)(講談社)
久保ミツロウ「アゲイン!!」(4)(講談社)
岡崎二郎「まるまる動物記」(1)(講談社)
野村宗弘「とろける鉄工所」(8)(講談社)
浅田次郎/ながやす巧「壬生義士伝」(4)(講談社)
清野とおる「東京都北区赤羽以外の話」(講談社)
きら「僕らはみんな死んでいる♪」(5)(集英社)
冨樫義博「HUNTER×HUNTER」(30)(集英社)
高畠エナガ「高畠エナガ短編集 Latin」(集英社)
二ノ宮知子「87CLOCKERS」(1)(集英社)
阿久悠/宇佐悠一郎「瀬戸内少年野球団」(集英社)
岩本ナオ「町でうわさの天狗の子」(9)(小学館)
竜山さゆり「ある日犬の国から手紙が来て」(小学館)
荒川弘「銀の匙」(3)(小学館)
加瀬大輝「まんけん」(2)(小学館)
佐原ミズ「鉄楽レトラ」(2)(小学館)
吉田聡「七月の骨」(3)(小学館)
山田玲司「美大受験戦記 アリエネ」(2)(小学館)
山口かつみ「My Favorite BIKE」(6)(小学館)
西荻弓絵/里中静流/了春刀「SPEC 零」(3)(角川書店)
石黒正数「木曜日のフルット」(2)(秋田書店)
横山光輝/野口賢「バビル2世 ザ・リターナー」(5)(秋田書店)
高屋奈月「リーゼロッテと魔女の森」(1)(白泉社)
水森暦「はじまりのにいな」(2)(白泉社)
辻田りり子「恋だの愛だの」(4)(白泉社)
えりちん「描かないマンガ家」(3)(白泉社)
浅野りん「京洛れぎおん」(3)(マッグガーデン)
木村いこ「きなこもち 5人家族と猫ひとり」(マッグガーデン)
木村いこ「たまごかけごはん」(徳間書店)
梶尾真治/鶴田謙二「さすらいエマノン」(徳間書店)
須藤真澄「金魚草の池」(エンターブレイン)
松田洋子「ママゴト」(2)(エンターブレイン)
花形怜/むろなが供未「バリスタ」(7)(芳文社)
武梨えり「かんなぎ」(7)(一迅社)
石田敦子「マンドラゴるァ!」(1)(竹書房)
清野とおる「東京都北区赤羽」(8)(Bbmfマガジン)

4月も多めの月となりました。

今月も粒ぞろいですが「たまごかけごはん」 「さすらいエマノン」 いいですね〜♪
「アゲイン!!」“こうきたか!”という展開の巻。
話運びがうまいな〜と感心しました。

新人離れした感性「高畠エナガ短編集 Latin」 もいいですね。
さらに「美大受験戦記 アリエネ」 が『スピリッツ』でいい感じの展開なんですよね、注目してます。

4月もたくさんの作品に楽しませていただきました。
また5月も傑作と出会えることを祈って…。

今月はここまで☆
   11:55 | Trackback:0 | Comment:0 | Top
 
 
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