新刊・旧刊をふくめた、まんがレビューblog。 その他、まんがに関すること。 
 
 

手原和憲「68m 手原和憲 高校サッカー短編集」は、サッカーが好きで好きでたまらないヤツらの“人生の1ページ”を描く珠玉短編集!

【あらすじ的なもの】
出番の少ないキーパーの控えの心情を描いた「ベンチウォーマー」や、ケガで走れなくなった選手がFKの“ピンチキッカー”として活路を求める「Pinchkicker あるいは走れない代打」など全5編を収録。
高校サッカーに打ちこむ選手たちを描いた短編集である。


68m01.jpg
手原和憲「68m 手原和憲 高校サッカー短編集」(小学館)

熱血”や“根性”など、スポーツまんが的な文法ではなくて。
作者独特のゆるい雰囲気ギャグが特徴の本作。

描かれているのは、サッカーに熱中する少年たちの姿。
68m02.jpg
サッカーが好きで好きでたまらないヤツらの“人生の1ページ”なんだ。


レギュラー争いをするチームメイト、勇退となる老監督などなど。
サッカーにまつわるドラマを描く作品群のなかでも、とくに必見は表題作の「68m」だ。
68m03.jpg
・「68m」より

Jリーグのユースからサッカー部にやってきた佐藤
左サイドバックだった小野田はあっけなくポジションを奪われ、右サイドバックにコンバートされる。

抜群のテクニック才能を見せつける佐藤。
努力でどうにかなるレベルを超えている…小野田は自信を打ち砕かれていた。

だが。
そんな佐藤もユースでは自分のプレーに自信が持てていなかったんだ。

左と右。
ピッチの端と端、反対側に位置する佐藤と小野田。
ふたりは次第に
お互いを理解し、大きく成長していく…!
68m05.jpg
才能を発揮できない男と、可能性を信じられない男。
佐藤の古巣、ユースチーム相手に連係プレーで得点を決めるシーンには胸が熱くなった。
 
しかし、物語はここで終わらない。
佐藤はJ1に入団、小野田はJFLで。
ふたりは別のステージでサッカーを続けるも、高校時代とは対照的な未来が待っていた…。

まだ何者にもなっていない高校時代に出会った佐藤と小野田
左サイドと右サイド…ピッチの反対側だけど、一緒にボールを追いかけた日々はいつまで経っても色あせない。
たとえお互いがどんな立場になっても、ふたりで会うときは“あの時のサッカー少年”なんだ。

現役サッカー選手に区切りをつけた佐藤と小野田が、新たな未来へと歩きだす物語
苦さ切なさ、そして希望が描かれたストーリーにグッときました。


ちなみにタイトルの「68m」とは、ピッチの横幅の長さ
ピッチの左と右に位置する佐藤と小野田、ふたりの関係性を象徴したセンスのいいタイトルだと思います。^^

サッカー好きなら思わず笑ってしまうギャグもちょこちょこ。
68m04.jpg
高校サッカーを通して描かれる人間ドラマに注目の1冊。
サッカー好きには文句なしでオススメです!


   23:24 | Trackback:0 | Comment:0 | Top

高尾じんぐ「くーねるまるた」は、日本を満喫するポルトガル人・マルタさんの“グルメな日々”を描いた、ほのぼのストーリー。

【あらすじ】
ポルトガルから日本の大学院に留学したマルタさん。
修士論文を提出しても母国に帰らず、日本でのんびりビンボーぐらし。
町の人たちと関わりながら、食べて、寝て。
日本を満喫するマルタさんの“グルメな日々”を描いたものがたり。


くーねるまるた02
高尾じんぐ「くーねるまるた」(1)(小学館)

本名は、マリア・マルタ・クウネル・グロソ
のんきで食いしん坊なポルトガル人・マルタさん。
“食う寝る”マルタなんて呼ばれることも。

築70年のアパートに住むビンボー暮らしだけど。
夏みかんの皮でマーマレードを作ったり。
パンの耳でエッグタルトを作ったり。

くーねるまるた03
素材やレシピに工夫をこらし、お金がなくても“美味しいものを食べたい”という、食いしん坊マルタさんの情熱もさることながら。
幸田文まで知ってるマルタさんの日本通ぶりにも驚かされます。
くーねるまるた01

ポルトガル日本
ふたつの国がマルタさんの食卓で一緒になったような。
“食文化”の側面からみても興味深かったです。
くーねるまるた04
(↑これは風邪のときに食べる卵スープごはん)


とはいえ、一番グッとくるのは。
マルタさんの美味しそうな、幸せそうな表情なんだ。
くーねるまるた05
美味しいって楽しいね!
豊かだね!
幸せだね!!

毎日の食事がボクらのカラダを作っていくんだけど。
きっとココロにも影響を与えてるんだろうね。

マルタさんみたいに、毎日楽しく!
しゃ〜わせな笑顔になれる食事がしたいですね♪
マルタさんを見ているだけで愉快になれる1冊。
オススメでございます〜☆


【おまけ】
ちょうど同時期に発売された“お食事まんが”と呼べる2作品をついでにご紹介!!
まずはこちら!
まかない君01
西川魯介「まかない君」(白泉社)

年上のいとこ3姉妹と同居することになった浩平くん。
家事の分担で“料理係”に就任。
まかない君”として一家の料理を作ることになるんだけど…。

浩平くんの日常料理がまた美味しそうで。
背伸びしたトクベツな料理がないので、レシピとして参考になりそう

それに加えて。
3姉妹の食事シーンがちょっとエロス。
まかない君02
狙ってるよねコレ!?ww

こんな感じでそこはかとなくエロスただよう本作。
3姉妹との微妙な関係もちょっとみどころだったりします。
芯のしっかりした丁寧な作品です。^^

まかない君 (ジェッツコミックス)
西川魯介
白泉社 (2013-02-28)

もう1作品。
これはコメントで教えていただいたのですが。
幸腹グラフィティ01
川井マコト「幸腹グラフィティ」(1)(芳文社)

中学生のリョウは料理が得意!
祖母を亡くしてひとりぼっちになって。
自分の料理が美味しく感じられなくなったけど…。

はとこのきりん、友だちの椎名と出会って。
一緒に食卓を囲むうち、美味しくて、こころが温まる“料理の楽しさに気づかされて。
優しい関係を作っていく…というお話。

…で。
なぜかこの作品も、食事シーンが色っぽかったりw
幸腹グラフィティ02
いいね!w
かわいくて色っぽくて!!w


食事を通して、友情を、こころをあたためていく物語。
トゲトゲした気持ちも忘れて、ほっこりする佳作です♪

ちなみに「腹グラフィティ」を「腹グラフィティ」と何度か空目してしまいました。
てへぺろ〜♪

   00:39 | Trackback:0 | Comment:0 | Top

松田奈緒子「重版出来!」は、1冊のコミックスを売るために心血をそそぐ、出版に関わる者たちの熱き物語!

【あらすじ】
『週刊バイブス』に配属された新人・黒沢心
大学で柔道部に所属した心は“精力善用”“自他共栄”をモットーに頑張る、清く正しい編集者。
出版に関わる者、すべてが喜ぶ“重版出来”という言葉を胸に。
をはじめとする編集営業書店員などなど…。
1冊のコミックスを売るために、心血をそそぐ人々のドラマである。


重版出来02  
松田奈緒子「重版出来!」(1)(小学館)

重版出来”(じゅうはんしゅったい)とは。
一度出版された本が、再度印刷されることが“重版”。
その“重版”が出来あがり、販売することを“重版出来”という。
重版出来03
初版部数のみで市場から消えていくのでなく。
重版出来”は、より多くの人々に読んでもらえるということ。
より多くの人々のに“作品を届けられる”ということ。

まんがに関わる者たちにとって、こんなに嬉しいことはない!

だから。
気持ちを込めて描いたまんが家はもちろん。
担当編集営業さん書店さんも。
知恵をしぼって、足をつかって、疲れをいとわず頑張るんだ。

こんなまんが出版の世界に飛び込んだのが。

新人編集・黒沢心
重版出来01
澄んだ気持ちと、まっすぐな情熱で仕事にむかっていく、黒沢心
彼女の真剣さと、強さは、“ユーレイ”と呼ばれた営業さんの気持ちを変えていく。
重版出来06
本気”の思いを胸に。
営業さんは書店さんへ協力をお願いして。
書店さんは受け取った思いを売り場でにしていく。

人から人へ。
行動が“”を伝えていく。

重版出来05
まんが家が魂をこめて紡いだ物語は。
読者の手に渡ることで完結する。

たくさんの人たちが、を繋いで。
”を伝えあって届けられた“1冊”。
感動しないわけがない!

まんがに関わる人たちの“”が、ぎゅっと凝縮された物語。
読んでいて、思わず胸があつくなりました。

まんが好きはもちろん、出版に興味があるキミ、必見です!!


重版出来! 1 (ビッグ コミックス)
松田 奈緒子
小学館 (2013-03-29)
   01:35 | Trackback:0 | Comment:0 | Top

寺沢大介「キッテデカ」は、切手をめぐる“謎解き”に興味津々! 異色の刑事ものがたり。

【あらすじ】
警視庁刑事部特別捜査室に勤める切手マニア・前島郵雅
公務員なら気楽に仕事して、切手ライフを楽しめる…と勘違いしていた残念な刑事である。
しかし切手のことなら警視庁で1番のスペシャリスト!!
前島のマニアな視点が難事件を解決に導く…のか!?


キッテデカ07
寺沢大介「キッテデカ」(1)(小学館)

切手のことしか興味がない“キッテデカ前島
仕事中でも自慢の切手コレクションを整理
正直、残念な刑事であるw

だが切手のことなら目の色が変わる!
新人の宮園密香とコンビを組んで。
難事件を解決へと導くのだ…!!
キッテデカ02
…というか職権乱用してお宝切手を探してる一面もw

だがそのおかげで窃盗団の犯行にいち早く気づく!
盗まれたのは、手紙に貼った切手であった…。
キッテデカ03
その切手とは“見返り美人”。
切手好きなら知らない人はいない(と思う)有名な切手である!

キッテデカ04
この切手と、押された消印重要な秘密が隠されていた…!


切手と、それにまつわる逸話と。
そして登場人物の人生が交差する“謎解き”ものがたり。
数センチ四方の“紙片”である“切手”の歴史と、価値と。

それに魅せられた者たちのドラマは読みごたえ充分でした。


じつはボク、小学生のころ切手収集をしてましてw
主人公の“前島”と、コンビを組む“密香”という名前で「前島密」か!と一瞬で分かったのです。
前島密(wiki)

前島密が描かれた1円切手シート(100枚)で買ったのを覚えてます。
100枚買ってもたったの100円!w
キッズのお財布にも優しいんですよ!!ww
郵便局の人には苦笑されてましたけど…。(´・ω・`)

というわけで。
個人的にも懐かしい切手の話が読めて楽しかったです。

“ビードロを吹く娘”の謎、初めて知りました。
キッテデカ06
思わず手持ちの切手を確認したくなりました。^^;
(奥底にしまったのでアルバムが出てこないw)

切手好きそうでない人
ちょっと奥深い切手の世界に触れられる本作。
少しでも興味をひかれた方はぜひに。^^


キッテデカ 1 (ビッグ コミックス)
寺沢 大介
小学館 (2013-02-28)
   01:03 | Trackback:0 | Comment:0 | Top

星里もちる「あっちもこっちも」は、爽やかで心がじんわり温かくなる読後感が魅力の初短編集!

【あらすじ】
次元の亀裂を修復するため、スイーツ好きの彼女とタイムスリップをするSFコメディ「スイーツメモリーズ」(前後編)。
偶然出会った美人を追いかけるも、なぜか姿が消えていた…。
大人の男女の出会いを描いた「朝まで待てない」ほか、合計8編収録の短編集。
デビュー27年で初めての短編集というから驚きです!!


あっちもこっちも01
星里もちる「あっちもこっちも」(小学館)

「ちゃんと描いてますからっ!」 「ハルコの晴れの日」 など。
当ブログで何度か紹介してきた星里もちるの初(!)短編集

次元に生じたを修復するため。
和樹とスイーツ好きの翔子は、タイムスリップを敢行!
…と、そのまえに。
ふたりは、思い出の日へとタイムスリップする…。

出会ったころの気持ちが変わってしまって。
微妙になってしまったカップルの距離感
だけど変わっていないことも、あったんだ。

「スイーツメモリーズ」は爽やかな読後感が味わえる“一品”でした。
あっちもこっちも02
・「スイーツメモリーズ」より

「スイーツメモリーズ」試し読み(前編のみ)

星里もちる作品は読後感が爽やかで。
ほんわかと心があたたかくなるのがいいですね。^^
とくにオススメが「道草探検隊」「パパと呼ばれたい」の2作!

20年飼っていた猫の“ちゃぼ”が亡くなって。
直後に母親交通事故で亡くなった。
パパとふたりで暮らしてる7歳の友香は、ある日“ちゃぼ”とそっくりの猫を見かける…!
あっちもこっちも03
・「道草探検隊」より

“ちゃぼ”そっくりの猫を追いかける友香の“思い”とは!?
そっくり猫がつむいだ、父と娘の心のドラマ
猫を追いかけた父娘は、意外な結末へとたどりつく…。

心に残る1作になりました。


もう1作は「パパと呼ばれたい」
あっちもこっちも05
・「パパと呼ばれたい」より

アニメの演出を生業とする芝田プロポーズの覚悟を決めていた。
相手の沙織は、まだ小さな娘・明菜を連れていて。
芝田は明菜に“パパ”と呼んでほしいのだけど…。

子供向けアニメを演出する芝田だが、まだ先輩に認められてなかった。
いわく、子供の気持ちがわかってない。

認められたい。
パパと呼んでほしい。
そして、沙織さんと一緒になりたい…!


あっちもこっちも06

だが芝田の思いは空回り
子供と向き合う自信を失ってしまう。
そんなとき、先輩が倒れる大ピンチ!
芝田は急遽、最終回のコンテを切ることになるのだが…!?

80年代のアニメ業界を舞台に、真剣に作品に打ちこんで。
子供と向き合う芝田の姿が印象的な短編でした。

ほかにも。
この短編集のタイトルと「ちゃんと描いてますからっ!」の元になった「パパ! あっちもこっちも」もショート作品(4話)なんだけど可愛くて楽しいし。
あっちもこっちも07
・「パパ! あっちもこっちも」より

読みごたえある作品がぎっしりと詰め込まれた、珠玉の短編集
ぜひご一読を!^^


   02:04 | Trackback:0 | Comment:0 | Top
 
 
プロフィール

hebitaro

Author:hebitaro
「ジャンプ」読むのに1時間!!
遅読のまんが野郎です。
新刊・旧刊とわずレビューを書いていきますので、よろしくお願いします!!

→このブログについて

Web拍手↓
拍手する
いただけると嬉しいです。

拍手コメントへの返事は↓
・拍手コメント返事(2017)・拍手コメント返事(2016)
・拍手コメント返事(2015)
・拍手コメント返事(2014)
・拍手コメント返事(2013)
・拍手コメント返事(2012)
・拍手コメント返事(2011)
・拍手コメント返事(2010)
・拍手コメント返事(~2009)

アマゾンストアも営業中!!
まんが人書店

カテゴリ
最新記事
最新コメント
最新トラックバック
月別アーカイブ
Amazon検索
カウンター
ブックオフ オンライン
ブックオフオンライン
バンダイチャンネル
バンダイチャンネル
フリーエリア
 
Amazon student
Amazon
楽天ブックス
楽天ブックス
当ブログ注目記事
Twitter
検索フォーム
当ブログ オススメ作品
RSSリンクの表示
リンク
ブロとも申請フォーム
Powered By FC2ブログ

今すぐブログを作ろう!

Powered By FC2ブログ

QRコード
QRコード