新刊・旧刊をふくめた、まんがレビューblog。 その他、まんがに関すること。 
 
 

石井光太/村岡ユウ「葬送 2011.3.11 母校が遺体安置所になった日」は震災当時、遺体安置所で働きつづけた歯科助手の“忘れられない記憶”の物語。

【あらすじ】
岩手県釜石市で歯科助手をしていた、大谷貴子さん。
2011年3月11日、東日本大震災発生後、津波で亡くなった人々の身元確認のため、遺体安置所で検案作業をすることになる。
その遺体安置所は、彼女の母校であった…。
ひとりでも多くの遺体を家族のもとに返すため。
奮闘した一市民の証言記録である。


葬送01
石井光太/村岡ユウ「葬送 2011.3.11 母校が遺体安置所になった日」(秋田書店)

岩手県釜石市で育った大谷貴子さん。
中学時代の淡い初恋
結婚就職、そして出産
…さらには離婚

貴子さんの汗も涙も。
喜びも悲しみも、釜石の土地にしみついていた。

そんな釜石が震災で、津波で失われた。
葬送03
たくさんの人々が津波で亡くなって。
遺体安置所に運ばれてきた。

その遺体安置所で、歯科助手として検案作業を手伝うことに…!
しかもそれは、貴子さんの母校の中学校だった。

中学時代、淡い初恋に胸を焦がしたその場所が。
無数の遺体で埋まっている。
現実じゃないみたい…でも、これが現実なんだ
葬送06
悲しみもやり切れない思いも。
すべてを飲み込んで目の前の仕事に没頭する貴子さん。

だが、かつてお世話になった人の遺体を見て、抑えていた気持ちがあふれだす。
葬送04
遺体安置所で懸命に働く歯科助手から、ひとりの女性に戻った瞬間だった。

胸をつぶされるような悲しみ。
…だけど遺体はどんどん運ばれてくる。
葬送05
「今はあなたのできることをして」。
亡き社長の奥さんの言葉を胸に刻み、貴子さんは再び検案作業へと戻っていく。

そこには。
泥だらけになって遺体を運び込む自衛隊の方。
遺体を綺麗にしながら検案する警察官
遺族の心のケアにあたる方。
遺体の尊厳を守ろうと、懸命に働く人々の姿があった。

遺体安置所での“修羅の日々”を駆け抜けた、貴子さんの生々しい記録。
誰もが、こんな経験をするとは思っていなかっただろう。
状況の壮絶さと、人々の真摯なまなざしのコントラストに胸がつまる思いがした。


時が経ち、いまは幸せに暮らしている貴子さん。
彼女のようなごく普通の人たちが震災当時の混乱のなか懸命に働いて。
いまの釜石があるのだろう。

たまたま震災と人生が重なった普通の人たちの、生きた軌跡。
想像を超える震災の現実に、あらためて被害の激しさを実感しました。

もし自分があの場にいたら。
何かできるのか!?
いや、何ができるのか。
胸にとどめて、生きたいなと思いました。

ごく普通の市民だった大谷貴子さんの“忘れられない記憶”の物語。
いつまでも胸の奥に残る作品である。


   11:54 | Trackback:0 | Comment:0 | Top

施川ユウキ「オンノジ」は、誰もいなくなった街で生きる、少女と鳥のものがたり。

【あらすじ】
ある日、突然、世界から人が消えてしまう。
ひとりになった少女・ミヤコは、誰もいなくなった街を徘徊していた。
そんなとき、1羽のフラミンゴと出会う。
もともとは少年だった彼を“オンノジ”と名付けて。
ふたりは一緒に暮らしはじめる…!


オンノジ01
施川ユウキ「オンノジ」(秋田書店)

ある日、突然。
人がいなくなった世界。
ミヤコはひとりで、無人の街を歩き回っていた。
オンノジ02
時が止まったような、街。
いつもはできないことができるワクワクも。
不思議なことが起きるドキドキも。
やがて日常に変わってゆく。

誰もいない世界にたったひとりの“絶対的静止空間”。
音のないその世界を想像するだけで、ぞっとするものを感じてしまう。

やがてミヤコは記憶すら曖昧になっていく…。
そこに突然の出会いが待っていた。
彼女が“オンノジ”と名付けたその生き物は、フラミンゴ
オンノジ03
しかも元・中学生男子
言葉も話せるフラミンゴであった。

この世界は、自分の妄想じゃない
お互いの存在をにして。
不確かな謎の世界に自分を、意識をつなぎ止める。
変わらない無人の街を、お互いの存在が色鮮やかに変えていく。
オンノジ04
誰もいない街で生きていく。
たったふたりで生きていく。
この先もずっと…!!


やがて。
ふたりが未来への希望にたどり着くラストに感動しました。

オンノジ06
無人の街の不思議と孤独
誰かがいる安心感
そして、生きていく希望

作者が描き出す4コマまんがの詩的世界観にじんわりくる作品です。
オススメ!

   01:30 | Trackback:0 | Comment:2 | Top

施川ユウキ「鬱ごはん」は、自意識過剰、妄想過多の主人公・鬱野の“鬱な食事”を描いたものがたり。

【あらすじ的なもの】
22歳の就職浪人・鬱野たけし
孤独な職無し男が鬱々とした気持ちを抱えながら、ひとりで食べる“鬱ごはん”。
それは時にグロテスクな妄想すら呼び起こす…!!


鬱ごはん05
施川ユウキ「鬱ごはん」(1)(秋田書店)

ピザ餃子ドーナツに。
過剰な自意識ネガティブな妄想をトッピングに、鬱野は食べる。

残ったピザを見て、ぺっしゃんこになった轢死体を想像し。
餃子を食べて、一緒に食べてる叔父の口の中を想像。
ドーナツの種類の多さに、自分の未来以上の可能性を感じる。
それが鬱野クオリティ
鬱ごはん04
正直めんどくせぇ〜!ww

だけど、逆にいえば。
ごはんは楽しい時間”だと刷り込まれた人間には。
無職男の“ひとり飯に襲いかかる不安と孤独、空虚さに耐えられないのかもしれない。

楽しいはずの“ごはん”を楽しめない。
居場所がない、空っぽの自分を満たすためには。
ときに暴走しグロテスクに至る“妄想”をするしかないのかもしれない。

とくにコモリガエルの背中に開いたを見て思い出した“懐かしくて美味しいモノ”が…。
鬱ごはん02
ここでは書きませんが、正直、グロい
もう食欲減退することはなはだしいw
ある意味、読むだけでダイエットできるかも!?w

こんな感じで。
自意識過剰、妄想過多の鬱野の“鬱な食事”を描いたものがたり。
“ごはん”がテーマでありながら、ちっとも食欲を刺激されない“鬱ごはん”まんが
勇気のある人だけにオススメします。
(読むのは自己責任でw)

   00:38 | Trackback:0 | Comment:0 | Top

菅原キク「昭島スーサイド☆クラブ」は、勝手に“死ぬ気”で町を守る! 無茶で崇高な戦いのものがたり。

佐倉涼介、16歳。
引きこもりのにバシられ、先輩には万引きを強要される。
イヤなことをイヤといえず、むかつくことに耐えてきた。
そんな涼介の前に颯爽とあらわれた、同級生の垣之上すう
魔法少女の姿で不良と戦う彼女に惹かれ、涼介は行動をともにする…!


昭島スーサイドクラブ04    
菅原キク「昭島スーサイド☆クラブ」(1)(秋田書店)

空気を読んで
顔色をうかがって。
強いものには従って。
涼介は、すべてに逆らえない自分に嫌気がさしていた。
そんな彼が出会ったのが、垣之上さんたちである。
昭島スーサイドクラブ01  
学年一の才媛・垣之上すう
地域最強の男・宍戸春夫
ふたりは勝手に町を守っていた。

ケンカ、窃盗、不法投棄。
あまたの犯罪から町を守るために戦う彼女たち。
その名も“昭島スーサイド☆クラブ”。

スーサイド=自殺。

まるで自らをに追いやるように。
“死ぬ気”で戦う垣之上さん。
ときには戦いに敗れることもある。
昭島スーサイドクラブ02  
魔法少女の格好をした彼女の戦い。
それは、とうに正気を失ってしまった今の世の中を、異次元の側から叩き直そうとする“足掻き”のようにも見える。

昭島スーサイドクラブ03  

こんな世界なら私はいらない。
だから“死ぬ気”で世界を変えるの!

崇高で無茶で。
むしろ底知れないを抱えてるかのような。
危なっかしい彼女たちから目が離せない。
昭島スーサイドクラブ05   
秘密のイベント“昭島裏オリエンテーリング”がまたスゴイ。
薬品や武器など、実際の犯罪に結びつくヤバイ物が手に入る、ネットでの“裏イベント”。
いわば犯罪のタネを撒き散らす“イベント主催者”に、昭島スーサイド☆クラブが挑む…というアツい展開!
昭島スーサイドクラブ06  
ひと筋縄ではいかない難敵に対し、垣之上さんたちはどう戦うのか!?
次巻の物語にも期待しています☆


   01:15 | Trackback:0 | Comment:0 | Top

おりもとみまな「ばくおん!!」は、女子高生の楽しいバイクライフを描いた“ガール・ミーツ・バイク”まんが!

【あらすじ】
高校入学初日。
自転車通学の佐倉羽音は、学校まで続く坂道にぐったり。
そこに天野恩紗がバイクに乗って颯爽と登場!
バイクの爆音に惹かれた羽音は、恩紗とともにバイク部に入部。
免許取得を目指す…!!


ばくおん01
おりもとみまな「ばくおん!!」(1)(秋田書店)

初めての自転車通学
つづく坂道に心がおれてしまった羽音。
自転車を降りて押していた、そのとき。
ばくおん02
いままで聞いたことのない爆音
熱い響きに羽音はこころを奪われる…!!

そしてバイク部の先輩に後ろに乗せてもらったとき。
いままで感じたことのない“思い”がわきあがる。
ばくおん03
爆音。
振動。
そしてスピードの恐怖。


それを超えた、言葉にできないワクワクとドキドキ


バイクに“乗らない理由”はいくらでもある。
夏は暑くて冬は寒い。
雨の日はびしょぬれだし、晴れてたら日焼けをしちゃう。
だいいち、キケンだ。

だからこそ。
乗る理由がひとつでもあれば、乗るべきなんだ。

妹を後ろに乗せて走りたい。
そして仲間と一緒に走りたい。

ばくおん04
バイクに乗りたい。

その思いを胸に、免許取得にむけて教習所に通う羽音。
女の子にとって最大の難関“引き起こし”にチャレンジする…!!


バイクを深く知る作者が。
小ネタを挟みつつ、バイクの魅力を描き出していく。

坂道でラクだから?
スピードが出るから?
爆音がカッコイイから?


それだけじゃない。

まるで羽がはえて空を飛ぶような
違う生き物になったような感覚。
全身のがたぎる高揚感

言葉にできない“思い”。
バイクという“体験”には、それがあるんだ。

ばくおん08
女の子たちの可愛さに加えて。
バイクの魅力を詰めこんだ1冊、ぜひ楽しんでいただきたい。

仲良し女子高生ライダーたちの明日はあかるいぜっ!!



ばくおん!! 1 (ヤングチャンピオン烈コミックス)
おりもと みまな
秋田書店 (2012-03-19)
   22:52 | Trackback:0 | Comment:0 | Top
 
 
プロフィール

hebitaro

Author:hebitaro
「ジャンプ」読むのに1時間!!
遅読のまんが野郎です。
新刊・旧刊とわずレビューを書いていきますので、よろしくお願いします!!

→このブログについて

Web拍手↓
拍手する
いただけると嬉しいです。

拍手コメントへの返事は↓
・拍手コメント返事(2017)・拍手コメント返事(2016)
・拍手コメント返事(2015)
・拍手コメント返事(2014)
・拍手コメント返事(2013)
・拍手コメント返事(2012)
・拍手コメント返事(2011)
・拍手コメント返事(2010)
・拍手コメント返事(~2009)

アマゾンストアも営業中!!
まんが人書店

カテゴリ
最新記事
最新コメント
最新トラックバック
月別アーカイブ
Amazon検索
カウンター
ブックオフ オンライン
ブックオフオンライン
バンダイチャンネル
バンダイチャンネル
フリーエリア
 
Amazon student
Amazon
楽天ブックス
楽天ブックス
当ブログ注目記事
Twitter
検索フォーム
当ブログ オススメ作品
RSSリンクの表示
リンク
ブロとも申請フォーム
Powered By FC2ブログ

今すぐブログを作ろう!

Powered By FC2ブログ

QRコード
QRコード