新刊・旧刊をふくめた、まんがレビューblog。 その他、まんがに関すること。 
 
 

木村紺「からん」は“ガール ミーツ ガール”の物語

ひと目見て「こいつとは友だちになれそうだ」とか、「こいつ何かスゲエ」とか。
会った瞬間“何か”を感じる関係ってあると思う。
たとえ、一見正反対のふたりであっても…。

これは、少女と少女が出会う“ガール ミーツ ガール”の物語である。


【あらすじ】
京都の名門女子高校「望月女学院」に合格した高瀬雅は、柔道初段。
中学時代、44kg以下級で京都2位になった“ツワモノ”である。
しゃきしゃきとした性格のが入学式で出会ったのは、一見地味でじつは可愛い、九条京
偶然にも同じクラスになった、
は、ほか数名を柔道部に誘うのだが…。

からん01
木村紺「からん」(1)(講談社)


“ガール ミーツ ガール”の物語、といっても百合的な出会いではない
お互いが気になって、お互いの存在に何かをかき立てられて。
ジリジリと、脳のシナプスを電流が走るのを感じるような…スリリングな出会いである。

雅は京の“静か”な姿から。
京は雅の“動き”あふれる柔道をみて。

お互いが惹かれあい、それが“柔道”という一点において結ばれるのだ。

柔道部でならしていた雅の“凜とした”ふるまいにくらべ、京舞を習っている京は、体も小さく一見おとなしい。
だが物語がすすむにつれ、“惹かれあった”理由が明らかになってくる。

雅、そして柔道との出会いで、京の意外な一面…負けず嫌いで“熱い芯”のような気持ちがあらわれたのだ。

「静」と「動」、雅と京はまるで反対に見えて、共通する“”をこころに秘めていたのである…!!


“ガール ミーツ ガール”。
いままでまったく違う人生を送ってきた、ふたりの少女が出会い、影響しあって変化してゆく…。
“出会い”こそ、なにかを変える可能性を秘めている。

柔道部での熱き闘いと同時に、ふたりの魂のゆくえを見守りたいと思う。


からん 1 (1) (アフタヌーンKC)


【おまけ】
神戸在住01
木村紺「神戸在住」(1)(講談社) ※カットは2巻から

巨娘01
木村紺「巨娘」(1)(講談社)

神戸に住む大学生・辰木桂の大学生活を描いた「神戸在住」は、阪神淡路大震災を克明に描いたことでも有名。(1巻収録。いわゆる“震災編”)
桂と、彼女をとりまく人々を楽しく、ときにセンシティブに描いた本作は、折に触れて“読み返したくなる”作品です。(全10巻)

その「神戸在住」の連載終了後に描いたのが「巨娘」

身長180cmを超える長身の“巨娘”・ジョーさんの“漢っぷり”をこれでもかと描いた、笑いたっぷりの作品。
前作とは一転して“笑い”にカジを切ったのが、すごく意外でした。
(最初はついていけなかった…w)

木村紺の作品は、舞台設定だけでなく性格や行動など、人物描写まで精緻に描き出しているのが特徴的。
“厚み”をもって、丁寧に描き出された人物と世界は、文学的な匂いも感じさせてくれる
どっしりと、腰を落ち着けて読む(読み込む)のに適した作品群です。
オススメです。

神戸在住 1 (1) (アフタヌーンKC)
木村 紺
講談社
おすすめ度の平均: 4.5
5 神戸の街に住む人達の日常生活。
5 主人公の目を通して見る風景
5 神戸という街とそこに住む人々。
5 神戸の“おくゆき”
5 心で読む漫画。
巨娘 1 (1) (アフタヌーンKC)
木村 紺
講談社
おすすめ度の平均: 4.5
5 なんとな~く惰性で生きている・・・と日頃感じている人に
5 やっぱりギャグ漫画もいける
5 ずっと待っていた漫画
5 下町の神戸在住?
3 うーん
   23:08 | Trackback:0 | Comment:0 | Top

井上智徳「COPPELION」で廃墟を駆ける少女の活躍を見よ

【あらすじ】
西暦2036年。
20年前、東京を襲った大地震により、原子力発電所がメルトダウン。
東京一帯は放射能により汚染された。

こんな廃墟となった東京を歩く、3人の女子高生。
遺伝子操作によってあらかじめ放射能の抗体をもつ少女たち。

“COPPELION(コッペリオン)”と呼ばれる、タエ子の3人は東京に残る生存者を探し、旅を続ける…。

コッペリオン01
井上智徳「COPPELION」(1)(講談社)


東京が封鎖されてから20年、突如生存者からのSOSが頻発するようになった事実。
放射能による変異、凶暴化した動物たち。
5年前に打ち切られた救援物資の投下・・・だが何者かがトラックで配給を続けていた事実。
過去の真実とともに“謎”が明らかになっていく展開は、じつにスリリング。

そしてボクが一番惹きつけられたのが、廃墟×女子高生というマッチングである!!

地震と放射能汚染で死の都となった、東京。
その地を闊歩するのは、生命力あふれる少女たち

時間が止まり、朽ちていくだけの都市に、“未来”という“希望”の時間をかかえた少女たちが降り立つのである。

荒野に咲く花のように美しく
制服で軽やかに駆ける彼女たちは、鮮烈な印象とともに目に飛び込んでくるだろう。


そして、もうひとつ。
彼女たちの存在に感じたのは“大人たちの失敗”である。

不自由な防護服を着なければ、東京では住めなくなった大人たち。
いっぽう彼女たちは、悠然と、学校帰りに繁華街を歩くように廃墟を闊歩することができる。

だが彼女たちは、大人たちに遺伝子操作で“造られた”存在なのだ。


大きな悲しみを抱いた少女たち“COPPELION(コッペリオン)”・・・願わくば、彼女たちの行く末に笑顔があることを祈りつつ・・・。
次巻を待ちたいと思う。

廃墟を舞台に軽やかに“闘う”彼女たちをぜひ見てほしい。


コッペリオン02



   20:20 | Trackback:0 | Comment:0 | Top

「LO」表紙の絵師・たかみち「ゆるゆる」第3回登場!

11/19日発売の「月刊ヤングキング」1月号に、「COMIC LO」の表紙で有名な、たかみち先生の初めてのまんが作品「ゆるゆる」(第3回)が掲載中!!

「ゆるゆる」第1回の記事へ
「ゆるゆる」第2回の記事へ


【あらすじ的なもの】
青鳩高校1年の春香美咲のなかよし3人組。
海に行った3人は、ハトの写真を撮ろうとするんだけど…!?

ゆるゆる3_01 ゆるゆる3_02
・たかみち「ゆるゆる」

残念ながら今回は2ページ
だが・・・驚くべき告知が。

ゆるゆる3_03

キターーーー!!

1月19日発売の3月号から毎号掲載との知らせ!!
これは楽しみすぎる・・・!

正直、2ヶ月に1度だともの足りなかったんですよね。
それに、コミックス化されるかどうか不安でしたし。
4ページ連載だとコミックスまでは相当かかりますから・・・早くコミックスになって多くの人に見てもらいたい、という気持ちもありましたし。
(雑誌ってやっぱり、流れていっちゃうものですから・・・)

とにかく。
これで来年が楽しみになってきましたね!!


【情報】 しあわせ1500「LOVEトレーダー」掲載!!

前回の記事でもふれましたが、しあわせ1500先生の読み切りが登場です。
LOVEトレーダー01
・しあわせ1500「LOVEトレーダー」


【あらすじ】
女子高生と援交の待ち合わせをしていた高校教師の三成
だがそこに現れたのは、教え子の成田裕子
裕子は友だちの美記と3人で本番なしの援交で稼いでいた。
いわく「商品(カラダ)を高価値のうちに流通させて利益をあげる」…資本主義の原則そのものなんだ、と。
弱みを握られた三成は、彼女たちのボディガードになるのだが・・・。


裕子みたく“カラダを資本に稼ぐ”という話って、女のコがイタイ目にあってしまう展開が多いんだけど・・・。
ネタバレすぎるので秘密ですが、ハッピーエンドになってます。
ちょいHでラストはほのぼの・・・こういう話は好きです。


それから甘詰留太先生の新連載ですが、やっぱりHシーンありました
しかも巻頭カラーww グハァ!!

ぜひともご確認あるべし。

恋は三十路をすぎてから02
・甘詰留太「恋は三十路をすぎてから」

ヨダレたれちゃってますね・・・。
みどころバッチリの巻頭カラーです。


【付記】
現在、Amazonでは中途半端なバックナンバーしか買えない「月刊ヤングキング」。
セブンアンドワイで購入するのがいいかもしれません。

セブンアンドワイHP

“月刊ヤングキング”で検索すると、2008年8月号、10月号~2009年1月号までが買えるようです。
(9月号がないのは、「ゆるゆる」第1回が載っているせい・・・?)

セブンイレブン受け取りにしたら送料無料ですし、段ボールに入ってるのでプライバシーも安心です。
(※ただ、段ボールのラベルに注文者の名前が入ってたと思います)
「月刊ヤングキング」が手に入りにくい地域のかたに、オススメです。

来月もこの、どこに向かっているのか予測不能の雑誌w 「月刊ヤングキング」をとりあげたいと思います。
よろしくお願いします。



来月のピンナップカレンダーは、武若丸先生です。

武若丸01

「月刊ヤングキング」のやることは、先が読めねぇ。
今後も注目…ですね!ww



   19:13 | Trackback:0 | Comment:0 | Top

NHK-BS「マンガノゲンバ」で「美内すずえスペシャル」を見ました!!

昨日の記事に引き続き、「マンガノゲンバ」の話です。
見ましたよ、「美内すずえスペシャル」!!

しかし、いきなり「ガラスの仮面連載再開スペシャル」とタイトルが。

いま連載休んでるよ!! と思わずツッコミいれてしまいました。


・・・それはともかく。w

なんと美内すずえ本人がゲストとして登場!!
司会のキャイーン・天野は、いきなり「死ぬまでには完結させてくれ」とファンを代弁
ボクのなかで天野株があがりました。

ちなみに、美内先生によると「死ぬまでに終わらせてくれ」というメッセージは、イタリアの74才の方からもいただいているとのこと。

・・・無理じゃね!?www


そして、「最近はあせってます」「時がきた、という感じ」とも。
ですが、「そろそろ機が熟したかな」の発言には、“そろそろ”ってコラァ!!ww
と、突っ込ませていただきました。


天野の「38歳になるまで結末見てないとは思わなかった」との発言に、「わたしもこの年になるまで結末描かないとは思わなかった」と返した美内先生。

・・・座布団2枚やってくれww(ヤケ)


「ガラスの仮面」の連載第1回は、「連載第1回目の教科書」と言われてるらしいです。
言われてみればマヤの性格が、とてもわかりやすく描かれてます。
“出前シーン”も“海に飛び込むシーン”も、「こいつナニモノ!?」というインパクトがあります。
忘れられないキャラで、思わず続きが読みたくなりますよね。

以下、見ながらとったメモです。

「1回目ではマヤのキャラクターを描きたかった」

ふつうじゃないキャラをわかってもらいたかった」

「キャラを認めてもらえば、2回目が描きやすい」

出前のタイムリミットは、いつも締め切りに追われている自身の経験による。

「理解してもらうための努力が必要。それがプロ」

「小学5年の子にわかってもらえるように描いている」

「デビューしてから弱い女のコを描いたことがない」

16ページの読み切りで苦労したしたおかげで、無駄なく物語がつくれるようになった。

16ページが描けないと、大長編は描けない。


以上、美内先生が言ったセリフと、それを要約したものです。

16ページの読み切りは鍛えられる、とよく聞きますね。
まんがに必要な“画”で見せながらうまく省略する技術がつくんでしょうね。
ちなみに「花とゆめ」の新人賞は、いまも16ページです。

白泉社 花とゆめ.com【目指せ漫画家】


そして、衝撃的発言が。

「ラストはもう決まっている」
「ラストシーンのセリフ、構成も決まっている」


・・・あれ?
もう決まってたんだっけ・・・!?

そのラストが、鉛筆画のまま出版されたり、アシスタントさんの画で出版されたりしないよう、とりあえず祈りましょう。

さあ、これで1月が楽しみになってきたぞ!!www




【おまけ】
「マンガノゲンバ」の番組中、「ガラスの仮面」のストーリー紹介映像で、初期アニメのOPが流れていてスゴク懐かしかったです。

「ガラスの仮面」ノンテロップOP(You Tube)

【追記】(2009/04/27)
YouTubeで番組の一部が見られます。
「ガラスの仮面」を描くのになぜこんなに時間がかかるのか、語られてます。
10分ちょっとの動画です。
   23:11 | Trackback:0 | Comment:0 | Top

11/18(火)、NHK-BS「マンガノゲンバ」で「美内すずえスペシャル」が放映!!

本日、11/18(火)NHK-BS「マンガノゲンバ」で「美内すずえスペシャル」が放映されます。

NHK「マンガノゲンバ」HP

HPより引用

今年7月に待望の雑誌連載を復活させた「ガラスの仮面」を中心に紹介しながら、美内さんの徹底したエンターテイメント精神や、その土台を培った少女時代のエピソードなどを聞きだしていく。

引用おわり

・・・ほほう!
“少女時代のエピソード”なんて気になりますね。
出前の途中で映画館に寄り道してラーメンを台無しにしたり、椿姫のチケット欲しさに冬の海に飛び込んだり・・・なんて少女時代だったらどうしよう。w

このTV出演が、来年1月の連載再開への呼び水であることを祈って・・・。

とりあえず予約録画しときました!!



【おまけ】
画像がないのも淋しいので、2007年8月に行った「美内すずえと『ガラスの仮面』展」で撮った画像をば。

世田谷文学館 「美内すずえと『ガラスの仮面』展」

ガラスの仮面展01 
・マヤの部屋

台本や、紫のバラの人のメッセージなど、マニア心をくすぐられます。
テーブルの上には、たい焼きイルカのネックレスなど、細かい演出も。

ちなみに今のマヤの部屋には、薄型TVが置いてあります。
いつの間に買い替えた!?www
   00:39 | Trackback:0 | Comment:0 | Top

映画「レッドクリフ」でツンデレ妹をみてきました。

映画「レッドクリフ」観てきました。
女性率48%とかいってましたが、ボクが行ったときはヒゲモジャの関羽みたいな人がいっぱいでした。

・・・ウソです、女性のほうが多かったです。

時代背景が理解できなくてもアクションは楽しめるし、だいいちイケメン&ヒゲメンパラダイスですから女子でも安心(?)ですよね。

「レッドクリフ」公式HP


ちなみにボクは孫権の孫尚香にクギヅケでした。

・孫尚香(孫夫人)のご尊顔は下記サイトにて。
映画「レッドクリフ」に関するブログクチコミ情報サイト-小喬と孫尚香
レコードチャイナ「レッドクリフ」のヴィッキー・チャオ、「トップ美女」争いは「気にしない!」—中国


この孫尚香なんですが、子供のころから武術に打ちこんでいて、チョー男勝り。
兄の孫権は「嫁のもらい手がいない」と心配してて・・・劉備に「妹を嫁にどうスか?」とオススメしちゃう。


これを聞いた妹は、劉備に近づき・・・パンチ一発
!!
劉備は失神・・・(エエッ!!)w

孫尚香「べっ・・・べつに劉備のことなんか好きじゃないんだからね!!」


コレは脳内補完w
実際はホントに嫌そうにパンチしてましたww
“政略結婚大嫌い”だそうです。


ちなみに史実では、孫尚香はのちに劉備のになります

・・・つまり「レッドクリフ Part2」では、現状のツンツン妹キャラが“デレ”になる瞬間がで観られるというコトなのか!?

スゲー楽しみになってきたww





【おまけ】
横山光輝「三国志」の文庫版では、赤壁の戦いは13巻になります。

三国志01
横山光輝「三国志」(13)(潮漫画文庫)
(「もっと早く殺しておけば」って、周瑜タン直接的すぎw)


ただ“赤壁の戦い”に至るまでの“知略・謀略”を楽しむには、12巻(孔明の大論陣) から読んだほうがいいかも。
孔明が単身で呉に乗りこみ、魏と戦うよう説得する・・・赤壁はやっぱりココから楽しまないと。

ちなみに、横山光輝「三国志」は小学6年のときに友人から借りて読んだのですが・・・また全巻読みたくなってしまいました。

コレは一体何のワナなのでしょうかw


三国志 (12) (潮漫画文庫)
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Genre : 映画 映画感想
   18:42 | Trackback:0 | Comment:0 | Top

11/10発売の「ヤングマガジン」50号に、ちばてつや「トモガキ」が掲載中!!

49号に掲載されていた、ちばてつや「トモガキ」後編が掲載。
NHKのドキュメンタリー番組「にっぽんの現場」で紹介されていた、何度も描き直した“ラストシーン”が、ついに見られます。

前編の記事

NHK にっぽんの現場 【ちばてつや 再びの“マンガ魂”~ありがとう トキワ荘の仲間たち~】
ヤングマガジンHP
ちばてつやHP

【あらすじ】
時は昭和34年。
悪ふざけから右手首のスジを切る大けがを負い入院した、ちばてつや
デッドラインまで、あと2日。
ちばが描き残したページのペン入れを頼むべく、編集長は「トキワ荘」へ向かった。

他人が描きかけた原稿の後始末。
しかも、たった2日の時間しか残されていない。
みな仕事に追われ、ほとんど睡眠がとれていない状態だった。
さらに決定的だったのは、“絵柄のちがい”。

誰もが最初は冷たかった。
だが、赤塚不二夫が声をあげた。

困ったときはお互いさまというし、他人の原稿に触れるのはいい勉強になるかもしれない。

そのひと言で石森章太郎が中心となり、ちばの原稿のペン入れが始まった・・・!!

【カット】
トモガキ02
・ちばてつや「トモガキ」


原稿は間にあった。
病床でゲラを見たちばは、自分のタッチに似せてイキイキと描かれた原稿を見て驚いた。
見ず知らずの男の原稿を、疲れをおして仕上げてくれた「トキワ荘」のまんが家たち・・・。
ちばの心に熱いものがこみあげた

のちに「トキワ荘」のまんが家たちにお礼を言いに行った、ちば。
石森や赤塚は、あれだけ迷惑をかけたはずのちばを“仲間”として迎え、以降半世紀にもわたる親交が始まったのだった・・・。


いやー、熱いなぁ。
大けがしてピンチの時に、見ず知らずの人が助けてくれる・・・。
ボクもフリーで仕事をしているのですが、これはホントに涙が出るくらい嬉しかったと思いますよ。

困ったときは、お互いさま。

よく聞く言葉だけど、自分が疲れているときに他人の仕事まで引き受けるなんて・・・。
なかなかできないですよ。(つか、正直デキマセンw)

赤塚不二夫って、ホントにいい人だったんですね。
こういう優しさって、何十年たっても忘れられません。本当に。
泣けてくるわ…。


その赤塚不二夫との別れが、この物語のラストで描かれていた。

もう何人もの仲間を見送った、ちば。
その淋しさを象徴するかのように見開きで描かれていたのは、トキワ荘
老朽化し、ボロボロになったトキワ荘・・・。
そして、ちばが去っていく後ろ姿・・・。

優しくて、あたたかかった、仲間。
ひとり、またひとりと別れて、見送る淋しさ。

「また会おう」

亡き友に語りかける言葉は、あたたかさと淋しさをまとっていて…熱いものがこみあげてくる。


いままで全速で駆けぬけてきた作者が振り返る、まんが人生。
この年齢だからこそ描ける“こころ”がじんわりしみる、いい作品でした。

「ちばてつや伝(1)」という副題があるだけに、次回作を期待せざるを得ません
・・・いやぁ、楽しみですね!!




【おまけ】
さっき気づいたのですが、前編と後編のトビラ絵

トモガキ04   トモガキ03

左が前編で、右が後編。

仲間ができた後編は、すごくにぎやかになっています。
こういう細かいトコもいいなーと思ってしまいます。

友だち、大切にしたいですね。
   00:31 | Trackback:0 | Comment:0 | Top

広井てつお「W1ララバイ」 蘇るバイク魂に胸が熱くなった。

8月28日、まんが家・広井てつおが亡くなった

彼が最期の仕事として熱望していたのが、この「W1ララバイ」の復刊である。
病魔に冒されて時間のない中、たくさんの人の助けで復刊の話はすすむ。
紛失した原稿をスキャンで復活させたり…さまざまな努力のすえ、出版への最終チェックまでこぎつける。
病床でチェックをし、指示を出して・・・発売を待たずに亡くなった。

ひとりのプロ作家が、執念で送りだした最期の仕事
じっくりと目に焼きつけてほしい。

【あらすじ】
高校3年の池上隆一は、ペンキ屋のとふたり暮らし。
から譲られたバイク・W1に乗って6ヶ月・・・そろそろ新しいバイクがほしい時期。
だがは、あと6ヶ月待てという。

ふてくされつつW1に乗りつづける隆一は、ある日おなじバイクに乗る老人と出会う。
老人はW1に乗り、九州まで息子に会いにいくという。
老人隆一にバイクのなんたるかを話し、去っていった・・・。

隆一と、彼のまわりのバイク仲間を描いた物語である。

【カット】
W1ララバイ01
広井てつお「W1ララバイ」(少年画報社)


バイクと、それを愛する者たち。
とびきり馬鹿で、あったかくて、どこか淋しい・・・。
そんな“バイク者”たちを詩情豊かに描いた物語。

ボクがとくに印象に残ったのは、隆一行きつけの喫茶店のマスターが家出少女と出会う「ノースランド コンチェルト」だ。


家出してバイクに乗り、「流氷をみたい」と北をめざした少女。

ここより遠い場所へ。
ここより綺麗な場所へ。
バイクなら連れて行ってくれる。

何かを断ち切りたくて。
そして何かを得たくて。
少女はバイクで旅立ったのだろう。

言葉にできない思いを抱え、自分の“命”の燃やしどころもわからない。
そんな心境を象徴するように、バイクの故障で立ち往生してしまう。

偶然通りがかり、少女を助けたのは喫茶店のマスター。
マスターはバイクを直し、ふたりはテントで暖をとっていた。
テントの外は吹雪・・・優しく助けてくれたマスターに少女は言う。

「抱かせてあげようか?」

マスターは少女の頬を張る。

「心はそんなに寒かないぞ」

少女に対し、あくまで“オトナ”として接するマスターの格好良さ。
いや、“格好良い”なんて言葉が軽薄で、恥ずかしく感じてしまうほどの“厚み”を感じるセリフである。
この20年で世間の大人が失ってしまった、人生を背負う者の威厳といえばいいのか。
ときに若者をはね返し、ときに包みこむ“本物の大人の存在感”に胸が熱くなった。

こんなマスターとともに見た海に、“流氷”という名の“希望”をみつける少女・・・。
バイクという乗り物が生んだ出会いは、おそらく一生彼女の心に残ることだろう。
そして、この物語に触れたボクらの心にも・・・。


ときには笑い、ときには涙し。
バカみたいに熱中し、いつまでも子供のように無邪気で・・・。

バイクと寄り添うように生きる者たちの物語。


大切な何かが心に残る1冊、機会があれば手にとって読んでみてほしい。





【付記】
60年に満たない生涯を、バイクとともに走り抜けた作者。
あとがきによると、この「W1ララバイ」は掲載誌である「ミスターバイク」の発行元であるモーターマガジン社から発売される予定だった

だが、「広井てつおさんの最期の作品になるだろうから、まんが出版の老舗である少年画報社から出してほしい」とモーターマガジン社からの申し出があったという。
業界としては考えられない申し出・・・この事実が、“広井てつおがどれだけ愛されていたのか”の証明になると思う。

バイクを愛したひとりの男のために、たくさんの“仲間”が彼の魂を形にした、一冊
ただ懐かしいだけじゃない、熱く、魂に染みわたるメッセージが感じられるはずである。
   23:19 | Trackback:0 | Comment:0 | Top

Boichi「HOTEL」の圧倒的“重さ”を目撃せよ!!

【あらすじ】
温暖化が絶望的なまでに進行した未来。
地球が“金星化”したなか、人類はわずかな希望を127光年先の宇宙にもとめ、「方舟」計画を実行する。

そしてもうひとつ。
南極に4720メートルの塔を建設し、人間以外のDNAを保存することになる。
やがて「ホテル」と呼ばれるようになったその塔の人工知能“ルイ”は、ただただ任務に忠実に、無数のDNAを守りつづける。

そして、気の遠くなるほどの時がたち・・・「ホテル」が見た未来とは!?

【カット】
HOTEL02
Boichi「HOTEL」(講談社)


表題作「HOTEL」を含め、全5編(+描きおろしshort SFが4編)がおさめられた短編集

重量感のある画が描き出すスケール感とイマジネーション。
特別なSFファンじゃないボクの心にも、ズシンと響くヘヴィ級の“物語圧力”にページをめくるたび、グイグイと引きこまれた。

この“物語圧力”=ヘヴィな演出力があったからこそ、マグロが絶滅した世界でマグロを蘇らせようと狂気で突っ走る研究者を描いた収録作「全てはマグロのためだった」が絵空事にならず、きちんとした“笑い”になったのだと思う。

圧倒的な画力と、ヘヴィな演出力で堪能できる“骨太なSF世界”。
これだけで一読に値するのだけど、Boichi作品の“もうひとつの魅力”を語りたい。


それは、セリフのチカラ。



収録作「HOTEL」にて、温暖化が進み人類が地球を捨てて宇宙に希望を求めたとき。
なぜ、のちに「ホテル」と呼ばれる塔を建設し、人間以外のDNAを保存するのか!?

人々は問う。
「いつか環境が回復するということなのか?」
「じゃあ人間のDNAを保存すればいいじゃないか!」


その答えが下記である。

違います。地球環境が回復する可能性はなく、貯蔵されたDNAが発現する可能性もありません

塔の目的はただ・・・・・・

“責任”を負うことです。人類が犯した罪の責任を・・・・・・



苦悩と、絶望、そしてわずかな矜持…人類の未来を背負った者の感情が“伝染”し、確信した。
これは、小手先の設定だけで物語を作っていない、“本気のSF”なんだ、と。


こんなBoichi作品集。
豪華装丁で印刷部数も少なめ? の心配もあり。
本屋でみたら、チェックしてみてくださいまし。















【おまけ】
【カット】
サンケンロック01
Boichi「サンケンロック」(1)(少年画報社)

Boichの他作品を紹介。

「ヤングキング」で隔号連載中の「サンケンロック」は、韓国を舞台に日本人の少年・北野堅がギャングのボスとして活躍する物語。

こいつもヘヴィな迫力と“言葉”で酔わせてくれる作品です。
機会があればぜひ。

(1~6巻が発売中。7巻が11/25(火)に発売)



   17:32 | Trackback:0 | Comment:2 | Top

森生まさみ「恐竜な歯医者さん」で、“オレ様”歯科医に酔えっ!!

少女まんがでは、華やかなキャラって“花を背負って”登場しますよね。
本作に登場する“オレ様”歯科医は、なんと“恐竜を背負って”登場

はてさて、どんなラブが繰りひろげられるやら・・・w

【あらすじ】
千歳飴を噛んだだけで前歯が折れた、歯質の弱い秀子(16)は、筋金入りの虫歯体質。
いつも歯科医の伯父にお世話になってたが、そこでイトコの(26)も歯科医として働きはじめる。
子供のころから、肉食恐竜“ティラノサウルス”のようにを怖がっていた秀子
恐竜のように怖い歯医者さん、の治療を受けることになった秀子の運命やいかに・・・!?

【カット】
恐竜な歯医者さん01
森生まさみ「恐竜な歯医者さん」(白泉社)


あらすじ読んでも、ラブに発展しそうな要素ありませんねw
じゃ、ちょっと続きを。


ある日、秀子は女性とキスしている開を目撃してしまいます。
秀子は、まだ小さかったころ、同じような光景を思い出して・・・。

学生服を着た開と、女の子のキスシーン・・・。
開になついていた秀子だけど、それ以来、開を避けるように。
そのとき、幼い秀子の胸によぎった気持ちはなんだったのか。
もしかして・・・!?

“恐竜”なイメージだけで、開を避けていた秀子。
でも実は、忘れていただけで子供のころから大好きだったんじゃん!!

鉄板だ、コレは!!
でも“熱い”鉄板だ、コレは!!ww



忘れていた自分の気持ちに気づいていく秀子と、セクハラ上等!! あくまで“オレ様”な態度で秀子を振りまわす開。
ふたりの、ドタバタ、ドキドキ、ほのぼの…いろんなキモチが味わえる、これぞ「森生まさみ作品」の醍醐味です。


そ・し・て。
“オレ様”歯科医ティラノサウルス系、開は必見。
ラスト近くで「口開けろ」と命令口調、しかもマスクなし(←ココ重要w)!!
・・・こ、これはキターー!!ww

“オレ様”成分が足りないかたに、オススメです。www



同時収録「レンタル ラヴァー」は、ちょっぴりビター風味。
クリスマスイブをひとりで過ごしていた耕太の元に「レンタル ラヴァー」(貸し恋人)屋から、女の子がやってくる。
彼女の名前は、ミホ
イブから、翌日のクリスマスまで、耕太の恋人として過ごすことになるのだが・・・。

ちょっと悲しいお話ですが、そこは森生まさみ作品。
ラストは温かい気持ちが心に残る、佳作です。
どっちもオススメですよー。



   23:07 | Trackback:0 | Comment:0 | Top

11/1発売の「ヤングマガジン」49号に、ちばてつや「トモガキ」が掲載中!!

NHKのドキュメンタリー番組「にっぽんの現場」で紹介されてから、ずっと楽しみにしてきた、ちばてつや「トモガキ」がついに掲載。

NHK にっぽんの現場 【ちばてつや 再びの“マンガ魂”~ありがとう トキワ荘の仲間たち~】
ヤングマガジンHP
ちばてつやHP


【あらすじ】
時は昭和34年。
「マガジン」「サンデー」など週刊少年まんが誌が登場まもないころ。
ちばてつやは、講談社の裏にある古めかしい洋館でカンヅメになっていた。

デッドラインまであと2日・・・そんなギリギリになっても直しをいれるちばの性格から、原稿は遅々としてすすまない。
当然、お説教をくらわす編集者に対し、“電気アンマ”のいたずらを仕掛けるちば
だが、いやがる
編集者に蹴り飛ばされ、窓ガラスを突き破って大量出血・・・!!
右手首のスジが切れ、二度とまんがが描けなくなるかもしれない大けがを負ってしまう。

ちばが描き残したページのペン入れをお願いしようと、編集長は「トキワ荘」へと向かうのだが・・・。(後編へつづく)

トモガキ01
・ちばてつや「トモガキ」


ちば本人の体験をまんが化した作品ですが・・・いや~、いいですね!!
やっぱり読みやすさ、入りやすさがちがう。
最初の数ページで時代背景やキャラの性格、人間関係が、端的に表現されていて、とても“わかりやすい”。

感情表現や演出も“わかりやすい”けど、底が浅い表現ではない。
むしろ奥行きのある深い表現へいざなうために、効率的な表現である“わかりやすさ”なんだ。
つまり、“まんがの世界”に意識を没入させるのに、まったくムダのない表現と演出
この見事さに、ため息がでましたよ。


ちなみに、執筆のもようを撮影したNHKの「にっぽんの現場」という番組でも、ちばはラストシーンを描きなおしてました。
さすがに電気アンマはかけてませんでしたが・・・w

でも、やっぱり描きなおした後のほうが“イイな”と思えるのがスゴイ。
より良い表現、伝わりやすい表現を追求する姿・・・70歳まぢかとは思えない向上心です。
(本人がブログやってるのにも驚いたw)
ホント、尊敬します。


執筆途中に赤塚不二夫が亡くなり、つぎつぎとまんが仲間がいなくなった作者が描く「トモガキ」(友垣=友達)の物語。
われわれ若い読者は刮目して後編を待つべき、ですね。

後編は11/10(月)発売「ヤングマガジン」50号に掲載です。
期待しましょう!!



【おまけ】
「ヤンマガ」49号の「エリートヤンキー三郎」に「トモガキ」へのオマージュが!?
エリートヤンキー三郎01
阿部秀司「エリートヤンキー三郎」

ソックリすぎて笑った。
   16:35 | Trackback:0 | Comment:0 | Top
 
 
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