新刊・旧刊をふくめた、まんがレビューblog。 その他、まんがに関すること。 
 
 

「まんが人blog」2009年オススメまんが!

2009年もあと数時間!
今年発売されたまんがの中で、とくにオススメの10作品(+α)を挙げたいと思います。

選考基準は、ボクが「面白いな」「オススメしたいな」と思える作品。
かつ、2009年に第1巻が発売された作品です。(または全1巻の作品)

理由は、なるべく新しい作品を紹介したいからです。
毎年同じタイトルをオススメするのもアレなので…。

ということで、今年もはじめます。
2009年オススメまんがです!


・大場つぐみ/小畑健「バクマン。」(集英社)→紹介記事
このマンガがすごい! 2010」でも堂々の1位。
2009年は「バクマン。」の年といっていいくらい話題でしたね。

予想通り…というか予想以上の早さでサイコーとシュージンはまんが家に。
そして、まんが家同士のライバル心、友情…さらには編集さんとのリアルなやりとりまで。
まんがファンが“知りたい”と思うことをドラマに織りまぜながら進むストーリーに、グイグイと引きこまれました。

2010年秋にはNHK教育にてアニメ化も決まった「バクマン。」。
今後の展開から目が離せませんね!!


・三島衛里子「高校球児ザワさん」(小学館)→紹介記事まとめ
このマンガがすごい! 2010」では6位。
2009年に登場した新人さんとしては、鮮烈な印象を残しました。
思わず「ザワさん」関連の記事を何度かUPしてしまったくらいです。w

個人的には連載開始当初の静謐な「ザワさん」が好きです。
紅一点と気づかれない…人知れぬ草原にポツリと咲く花のように。
ただそこに在る、ザワさんの存在が好きです。


・森薫「乙嫁語り」(エンターブレイン) →紹介記事
乙嫁語り 1巻 (BEAM COMIX)
乙嫁語り 1巻 (BEAM COMIX)
posted with amazlet at 09.12.31
森 薫
エンターブレイン
中央アジアを舞台にした“嫁物語”。
12歳のカルルクの花嫁は、8歳年上のアミル。
このアミルの“出来る嫁”っぷりが最高。
ちょっとボケてて心配性なトコを含めて、めちゃカワイイっす。

森薫の丁寧な描き込みが生み出す“空気感”は、ページを開いた瞬間、ボクらを中央アジアの世界へと誘います。
“芯”のシッカリした表現を好むキミに、とくにオススメしたい。


・末次由紀「クーベルチュール」(講談社)→紹介記事
このマンガがすごい! 2010」オンナ編で「ちはやふる」が1位になった末次由紀の作品。
美形兄弟が経営するチョコレート専門店に来るお客を描いた短編連作です。

短編集「ハルコイ」もそうなんですが、末次由紀は“まんがが上手い”!
くるしさ、切なさ、うれしさ。
キャラの感情がダイレクトに心に響くんですよね。

テンポよく音楽のように流れるモノローグとセリフ。
ハートをわしづかみにする、画的な演出。

感情のツボをぎゅいぎゅい押されて、泣いて笑って感動して。
ホントにすごい作家さんです。
来年もバリバリ描いてボクらを感動させてほしいですね!!


・小川未明/釣巻和「童話迷宮」(新潮社)→紹介記事
童話迷宮 上(Bunch Comics Extra)
釣巻 和 小川 未明
新潮社
くおんの森」では“本”にまつわるイマジネーション豊かな物語で魅せてくれた、釣巻和。
小川未明の童話をモチーフに自由な発想で描いた物語。
タイトル通り、童話のなかに“迷いこむ”ような不思議な感覚を味わえます。

WEB上での連載はカラーだっただけに、コミックスもカラーで読みたかったのが残念なところです。
釣巻和先生のカラーがまた綺麗なだけに、惜しいです。
2010年の活躍も期待大ですね。


・平尾アウリ「まんがの作り方」(徳間書店)→紹介記事
まんがの作り方 (1) (リュウコミックス)
“百合”というキーワードでギュッ!と男子の心をつかんだのが「まんがの作り方」。
女の子と付き合えば、はやりの“百合まんが”が描ける!
…なんてところからスタートした、ふたりの女の子の微妙な関係が魅力の作品。

カワイイ女の子×百合×まんが家モノ…なんちゅう素敵な掛け算!!

ゆるゆるした空気感が楽しい作品です。
2009年はイキのいい新人さんがたくさんコミックスを出して嬉しいかぎり。


・小林まこと「青春少年マガジン1978-1983」(講談社)→紹介記事
小林まことが代表作「1・2の三四郎」を連載していた1978年~1983年までを中心に、自身の青春時代を振り返った作品。

とにかく、当時のまんが家の壮絶な仕事ぶりに驚かされる。
不眠不休で描き続け、失神するように眠る。
平均睡眠時間が、週8時間。
…マジで!? と何度も声に出そうになった。

過酷な仕事をつづけ、小林は一流とよばれる地位にまでたどりついた。
では、ほかの仲間たちは…!?

小林と同期の仲間たちの、凄絶な“戦い”を描いた物語である。


・ツナミノユウ「シュメール星人」(集英社) →紹介記事
宇宙船に乗って地球にやってきたシュメール星人。
初の異星人との交流に、沸きたつ人々!
しかし彼の星は地球より20年、文明が遅れていた…。

この“ガッカリ感”どうよ!?

人柄がよく、他人に迷惑をかけないように、ひっそり暮らそうとするシュメール星人。
だけど彼の親切や思いやりは裏目に出て…チカンと間違えられたりしちゃう。

この“悲哀”どうよ!?

哀しくも笑えてしまうシュメール星人が、ボクは大好きです。


・やざま優作/富田安紀子「極王」(少年画報社)→紹介記事
極王 (ヤングキングコミックス)
富田 安紀子 やざま 優作
少年画報社
盲目の整体師・戸波愛次郎。
その正体は、無敵の関節技をあやつる闇の仕置き人“極王”!!
今日も許されざる悪人を“廃棄”する…!!

とにかく、メチャクチャかっこいい。
拳銃やナイフを持つ悪人に、素手でたちむかう。
人体の“繋ぎ目”である関節を破壊、悪人にふさわしい“人間とは思えない形”に変えてしまうのだ。

ネットでもリアルでもほとんど評判は聞かないけど、とにかくシビレる佳作。
ドラマ化されてもおかしくない、“芯の熱さ”を秘めた作品です。


・大石浩二「いぬまるだしっ」(集英社)→紹介記事

週刊『少年ジャンプ』連載中、下半身まる出し園児のギャグまんが。
小ネタ、下ネタ、時事ネタ、パロディネタを次々と繰り出す“手数の多い”作品。
ボクは前作の「メゾン・ド・ペンギン」も大好きです。
Amazonのレビューでは酷評されてましたが…。ww

まあ、しょうもない“アホまんが”です。w
でもどこか、脳の“中学生領域”を刺激されるんですよね…。
ボクは好きです。


(次点)
上の10タイトルには惜しくも入らなかった“おすすめ作品”です。

天野こずえ「あまんちゅ!」(マッグガーデン)紹介記事

とよ田みのる「友達100人できるかな」(講談社)紹介記事

衿沢世衣子「シンプルノットローファー」(太田出版)紹介記事

谷川史子「清々と」(少年画報社)

佐々木倫子「チャンネルはそのまま!」(講談社)紹介記事

やまむらはじめ「天にひびき」(少年画報社)

青山景「ストロボライト」(太田出版)

つばな「第七女子会彷徨」(徳間書店)紹介記事

古屋兎丸「幻覚ピカソ」(集英社)紹介記事

元町夏央「熱病加速装置」(小学館)紹介記事

なかせよしみ「でもくらちゃん」(徳間書店)紹介記事


神原則夫「世界に羽ばたけ轟先生!」(講談社)紹介記事

大井昌和「おくさん」(少年画報社)紹介記事

清野とおる「東京都北区赤羽」(Bbmfマガジン)紹介記事

ゆでたまご/小川雅史「キン肉マンレディー」(集英社)紹介記事

施川ユウキ「え!? 絵が下手なのに漫画家に?」(秋田書店)紹介記事

葛西りいち「あしめし」(小学館)紹介記事


次点も含めた、合計27作品が2009年のオススメ作品です。

ホントはあと10作品くらいあったんですが、絞りに絞ってこの数に。
2009年もいい作品とたくさん出会えて、本当に幸せでした。

今回紹介した作品で、この幸せのお裾分けができたらなと思います。
2010年も地味ながら、オススメまんがを紹介していきます。

これからも、まんが人blogをよろしくお願いいたします。
   22:29 | Trackback:0 | Comment:0 | Top

佐原ミズ×スキマスイッチ「スキマ式」まんが×音楽コラボ第5回が掲載!!

佐原ミズとスキマスイッチのコラボまんが「スキマ式」第5回が『メロディ』2010年2月号に掲載中!!
今回はアルバム「空創クリップ」より「冬の口笛」です。

第1回の記事
第2回の記事
第3回の記事
第4回の記事

【あらすじ】
深夜、大雪に見舞われた大都会。
電車は止まり、タクシーも走っていない。
寒い中を歩くカップル、女の子はご機嫌ナナメ。
ついにケンカがはじまって…。

スキマ式1002_01
・佐原ミズ「スキマ式」より


涙と雪でアイラインとマスカラはぐしゃぐしゃ。
目のまわりは黒ずんで
さらに湿気で巻き髪は逆立って…“パンダゴーゴン”の誕生である。

泣き叫んで。
キレて。
わめいて。
あげくに“別れ”を切りだす。
それが“パンダゴーゴン”の得意技

だけど。
だけど、そんなことでキライになったりはしない。

1年7ヶ月と12日。
積み重ねた日々で、見てきたことがある。

綺麗になろうとがんばる姿。
無邪気な笑顔。
ちょっとヌケてる性格…。

降り積もった雪よりも。
たくさんの“思い”が積もっているから…。
スキマ式1002_02

ちょっとスネたくらいじゃ、ふたりの仲はゆるがない
“パンダゴーゴン”ちゃんも、わかってるから安心して感情をだせるんでしょうね。

ケンカするほど仲がイイ。
それは、ふたりで積み重ねてきた日々が裏づけになってるんですね。

冬の寒い日に、ちょっと心が温まるイイお話しでした。


この話、本来は2009年12月号に掲載予定だったのですが、知らぬ間に延期されていて久々の記事更新となりました。
前回の記事を訂正してなかったので、ご迷惑をおかけしました。m(__)m

ちなみに次回の掲載予定は載ってませんでした
次回…いつになるのかなぁ。
楽しみに待ちたいと思います。


   11:39 | Trackback:0 | Comment:0 | Top

美内すずえ「ガラスの仮面」連載再開第13回、亜弓さんガチ特訓!

12/26発売の『別冊花とゆめ』2010年2月号に「ガラスの仮面」連載再開第13回が掲載中!!

【いままでの記事はココ】
美内すずえ「ガラスの仮面」関連まとめ

【あらすじ】
「手術をしないと失明する危険がある」と宣告された亜弓
だが、手術をしてたら試演に出られない。
亜弓はいまの状態のまま、稽古を続ける…。

ガラスの仮面1002_01
視力に頼らずに演じることが出来れば、怖いものはない。
闇の中、稽古をする亜弓だが…。

自分がどこにいるのか、わからない。
飛んだり跳ねたり。
亜弓の得意な“女神の舞”ができない。

さらに医師から宣告される。

今すぐ手術をして血腫を取り除かねば

このままでは失明のおそれがあります

手術をしたら、試演に間に合わない。
だが、今のままでは稽古についていくのがやっとの状態。

追いつめられた亜弓は…。
ガラスの仮面1002_02

感じて…!

感じとって!

小さな物音

人の気配

空気の動き…!

耳をすまして…!

心をすまして…!

感じることに集中して…!

ガラスの仮面1002_03
カ・イ・ガ・ン(開眼)。

耳を澄ます。
心を澄ます。
そうして“感じる”ことは、阿古夜の役作りにつながってくる。
亜弓もようやく気づいたようです。

そして決心する。
これまでの演技プランを捨て、今の自分だからできる新たな“紅天女”を創造することを…!!


さあ、特訓の時間です!!
ガラスの仮面1002_04 
ん? なんだこの鈴はっっ!?
スパイ(=水城さん)が入ってきてもすぐわかるように…じゃなくて。

よくわからないが、とにかくスゴそうな特訓風景だっ!
そして、特訓中の亜弓がまた神秘的なオーラを放つ!!
ガラスの仮面1002_05
ほおお。
阿古夜の雰囲気を身にまとってますね。

色恋にかまけとるマヤをさしおいて。
亜弓の猛チャージがはじまる…!!

ってな感じで続きが楽しみな展開になってきました。
今回はほとんどツッコミの余地がない、ガチな亜弓特訓模様
それだけに、ちょっと萌える一場面が。
ガラスの仮面1002_06
感覚が鋭くなって。
亜弓には、つぼみがはじけて開花する音が聞こえるんですね。
なんともカワイイ表情です。
眼を悪くしてから“汽笛”が聞こえる場面が多いだけに、ちょっと萌えました。w


   23:33 | Trackback:0 | Comment:2 | Top

長野香子「ノラ猫の恋」は“不在の男”をめぐる3人のすこし不思議な絆の物語

【あらすじ】
「一緒に暮らそう」。
子供のころ家を出た父・宗一郎から手紙を受けとった高校生のななは、深夜バスで一路青森へ。
手紙の住所を訪ねたのだが、そこに宗一郎はいなかった。
そして、なんと旅の途中で出会ったオカマのキヨシも父の手紙を受けとっていた。
キヨシは父の元・恋人というのだが…。

ノラ猫の恋01
長野香子「ノラ猫の恋」(1)(エンターブレイン)


会いに行った家に、父はいない
しかもヘンなオカマが父の“元恋人”と名乗る。
父であり、元恋人…“伊藤宗一郎”という、ひとりの“”がつなぐ

キヨシに父の知らない過去を見て不安になる、なな。
ななに元恋人の真っ当な人生の欠片を見る、キヨシ。

最初は、おたがいのなかに“伊藤宗一郎”の影を探しながら。
時とともに少しずつ、それぞれの存在を認めてゆく…。
ノラ猫の恋02
求めていた人がいない、不安とまどい
心かき乱されていたふたりが、食事とともに満たされていくシーンが印象的。

ななとキヨシ。
ときに反目し、ときに助けあいながら…。
“伊藤宗一郎”を中心におきつつ、ふたりは関係性を築いてゆく。
すこし不思議な、絆の物語が新鮮だった。

そしてもうひとり。
宗一郎の会社の後輩・澤晴生が訪ねてくる…!!
ノラ猫の恋03
宗一郎はどこへ消えたのか。
晴生のねらいは何なのか。
微妙な緊張感をはらみつつ、不在の男をめぐる3人の物語。

奇妙な共同生活のゆくえが楽しみである。


ノラ猫の恋 1巻 (BEAM COMIX)
長野香子
エンターブレイン
   00:40 | Trackback:0 | Comment:0 | Top

「LO」表紙の絵師・たかみち「ゆるゆる」第15回登場!

12/19日発売の『月刊ヤングキング』2010年2月号iconに「COMIC LO」の表紙で有名な、たかみち先生の初めてのまんが作品「ゆるゆる」(第15回)が掲載中!!

たかみち「ゆるゆる」(月刊ヤングキング)関連まとめ

【あらすじ的なもの】
夢中になったら一直線!なハルカちゃん。
そんな彼女にふりまわされるのに疲れ、ユキちゃんはキレちゃうけど…。

ゆるゆる1002_01
・たかみち「ゆるゆる」(第15話 私たち)

“キッチリ”大好きのユカちゃんは、ハプニングが苦手!?
犬のウ○コふんじゃって、テンション下がり中…。w

でもそこは親友。
ハルカちゃんに悪気がないのはわかってる
ゆるゆる1002_02
仲直りしたい。
でもなんていったらいいんだろう。
そんなとき、いつも撮っていた写真を携帯に入れてたことに気づいて…。

天然で、キッチリさんで、気さくな性格で。
3人それぞれ性格が“ちがう”からこそ、一緒にいて楽しい。
ちょっとした仲違いから、3人の絆がみえるお話です。


で、衝撃の事実があるんですが。
なんと「ゆるゆる」は今回で最終回!(泣)

マジですか。
てっきり巻中カラーまんがとして、5年、10年と続いていく…と思っていたんですが。
残念です。

でも朗報も!
ゆるゆる1002_04
フルカラーコミック「ゆるゆる」2010年4月発売予定!!

やはり“フルカラー”ですぜ旦那!w
ミニイラスト集キャラ設定などなど…いろいろお楽しみもあるようで。
こいつぁ楽しみです!


今回のピンナップカレンダーは、みさきちゃん。
ゆるゆる1002_03
・ピンナップカレンダー(たかみち)

緑と空の青が綺麗!!
3人のなかでとくに印象的な1枚になりましたね。
これが最後と思うと…淋しいです。

連載終了にあわせて“3人”をピンナップで描いて…。
ちょっと淋しいけど、粋なはからいって感じもします。
4月のコミックスを心待ちにしましょう。


さて隔月連載の「ハッピーネガティブマリッジ」!!
ハッピーネガティブマリッジ1002_01
・甘詰留太「ハッピーネガティブマリッジ」

志麻子さんがやってくる。
先輩と綿密な作戦会議をする啓太郎。
だが待ち合わせ場所に志麻子さんはあらわれず。
ハッピーネガティブマリッジ1002_02
直接きちゃった♡
というワケじゃないけど、独身寮に志麻子さん降臨

ハシャギまわる独身男子軍団。
そして…志麻子さんにお酒をすすめる後輩クン。(グッジョブ!)
ハッピーネガティブマリッジ1002_03
案の定、こうなりました。w

お酒に弱くて、だらしない自分。
意志が弱い自分。
甘えたがりの自分…。
自己嫌悪を啓太郎にぶつける志麻子さん。

あまりにしつこい志麻子さんに、啓太郎はいいます。

オレがっ!!

大丈夫っ

つってんだろッ!!!

流れで、勢いで、出た。
だけど“ホントの言葉”。

ふたりのなかに、温かいなにかが通ったような…。
そして帰り際。
ハッピーネガティブマリッジ1002_04

パパに会ってくれますか?

キターー!
パパっ娘・志麻子さんのパパと直接対決!?
こいつぁ楽しみですね~!!w

だけど、お見合いじたいの雲行きがあやしくなってきて…!?
というところで、次回は2月19日発売の4月号。
2ヶ月先は、遠すぎですよ…。


以上、「ゆるゆる」と『月刊ヤングキング』の記事でした。
「ゆるゆる」が終わってしまったので、「ゆるゆる」のくくりで『月刊ヤングキング』を取りあげるのも、これにて終了です。
以後『月刊ヤングキング』の記事をどうしようか考え中です。

ご意見・ご要望がある方は、コメントかWeb拍手でお願いします。

iconicon
『月刊ヤングキング』2010年2月号 icon
   00:55 | Trackback:0 | Comment:4 | Top

一色登希彦(ほか)「九段坂下クロニクル」は、建物の記憶を閉じ込めた佳作オムニバス

【あらすじ】
東京都千代田区神田神保町3丁目に実在する、九段下ビル(今川小路建築)。
1927年(昭和2年)に建ったそのビルを舞台に、時代を超えて描かれる4つの物語。
一色登希彦、元町夏央、朱戸アオ、大瑛ユキオ、4人の作家が描き出す歴史と人間の物語である。

九段坂下クロニクル01
一色登希彦(ほか)「九段坂下クロニクル」(小学館)


ビルが出来たばかり、昭和初期の少女ふたりの友情を描いた「ごはんの匂い、帰り道」(元町夏央・作)
戦中、戦後をまたぐ時代、ビルで古本屋を営む青年と妖艶な美女の数奇な運命を描いた「此処へ」(朱戸アオ・作)
現代を舞台に、ビルの一室で14歳の少女と出会うふたりの少年を描く「ガール・ミーツ・ボーイズ」(大瑛ユキオ・作)

この3つの作品をつなぐのが「スクリュードライブ -らせんですすむ-」(前後編)(一色登希彦・作)である。
前編、後編をコミックスの最初と最後に配置。
ひとつの大きな物語としてまとめあげる効果をもたらしている。


まんが家を目指すテツヤは、九段下ビルの一室を仕事場とするまんが家のアシスタントをしている。
ある日、テツヤは先生から“コルク抜き”を探してくるように言いつけられる。
だが時間は深夜、お店は開いていない。
テツヤは夜の町をさまよい、その途中、ビルから“天の声”を聞く…。
九段坂下クロニクル02
まんが家を目指し、アシスタントをするテツヤ。
だが原稿も佳境の中、別の用事をいいつけられるってことは“戦力外”ってこと。
是が非でも“結果”(栓抜き)を持ち帰らなくては居場所がない
必死になるテツヤに、“天の声”は話しかける。
“まんがを描きな”と…。

人の成長は、らせん階段のようなのかもしれない。
真上から見たら、同じところをグルグル回ってるように見える。
だけど視点を変えれば、上へ上へとあがっているのだ。

結果が出ない者にとって、“努力”なんて同じところをグルグル回ってるような感覚だろう。
けど重ねた努力の分だけ、見える風景は変わっているはずなんだ。
もがきながら歩き続けるテツヤに、そんなことを感じました。


ちなみに作者の一色登希彦は、この九段下ビルに仕事場を構えていたことがあるという。
もしかしたら、かつて作者も旧い建物がもつ“気配”から無言の励ましをもらっていたのかもしれない。

“九段下ビル”という、いまにも朽ち果てんとする建物。
その記憶を“物語”という現実とは違った形で世の人々に植え付ける。
それは、建物の“気配”になにかを感じた作者なりの、“恩返し”と考えるのは…ロマンチックすぎるだろうか。

九段坂下クロニクル
posted with amazlet at 09.12.18
一色 登希彦 元町 夏央 朱戸 アオ 大瑛 ユキオ
小学館


ちなみに、Googleマップで九段下ビルは見られます。
九段下ビル(Googleマップ)

今はネットによって外壁が守られているみたいです。
取り壊しになってしまう前に、一度観に行ってみたい建物です。
   00:21 | Trackback:0 | Comment:0 | Top

末次由紀「クーベルチュール」は、あまいだけではない、深く濃く、熱い恋物語

あまくて、口にすると幸せな気分にしてくれるもの。
それは“チョコレート”。
うまくいかないで迷うこと、悩むこと…。
いろいろあっても、口にするだけで気持ちがやさしくなる。
そんな小さな魔法のような“チョコレート”をあつかう専門店を中心に描かれた物語である。

【あらすじ】
美形兄弟、一郎二郎が営むチョコレート専門店“クーベルチュール”。
“ここでバレンタインのチョコを買うと100%恋が叶う”ともいわれるチョコレートは、まさに至福の味。
訪れた客、1人ひとりの心を溶かし、あたたかく包みこんで…。
やさしく幸せな気持ちにしてくれる。
そんなチョコレート専門店を中心に繰り広げられる、4編の物語を収録した短編集である。

クーベルチュール01
末次由紀「クーベルチュール」(1)(講談社)


100%恋が叶う”というチョコも、あげる勇気がなければ意味がない
ホワイトデーなんか関係ないよ…と負のオーラをはなつ、小春。
クーベルチュール02
だが、ひとりの少年の存在に気づき、ハッとなる。

小春がバレンタインにチョコをあげられなかった、麻生くん
彼がホワイトデーのチョコを買いにきたのだ。
100%恋が叶うというチョコを…誰に渡すの!?
気になった小春は、あとを追うのだが…。

中学卒業後、仲間がはなればなれになる直前。
15歳・小春の恋を描いた2編目の「春味」が印象的だった。

たとえ失敗しても。
勇気を出せば、きっと心になにかが“のこる”はず。
恋して、破れて…そのくり返しが、心を輝かせるのかもしれない。

小春の“ちいさな勇気”と、それを引き出したチョコレート
胸がきゅんとする、いい話でした。


テンポ良く流れるモノローグ
感情を“切りとる”セリフ
そして気持ちが伝わる目の“表情”。
クーベルチュール03
をかけて、をかけて作り上げる最上級のチョコレートにも似た。
極上の物語

「このマンガがすごい! 2010」オンナ編で第1位になった「ちはやふる」でいま注目の、末次由紀が描くオムニバス。
あまいだけではない、深く濃く、熱い恋物語を堪能してほしい。



   22:26 | Trackback:0 | Comment:0 | Top

元町夏央「熱病加速装置」は思春期の“痛みと熱”が伝わる作品集

【あらすじ(というか内容)】
義姉と少年、ふたりの情欲に流される関係を描いた「てんねんかじつ」。
女性教師に巻いてもらった包帯から、ほのかな恋心が芽ばえる少年…そしてその“傷”を描いた「包帯」ほか、全4編を収録した短編集である。

熱病加速装置01
元町夏央「熱病加速装置」(小学館)


大人になる前、思春期のころ。
コンプレックスを抱いていたり、どこか心がささくれていたり。
何かと苛立っていたり。
誰もが自分の感情をもてあましたことがあると思う。

やがて、ボクらは混沌とした“言葉にできない感情”をコントロールする術をおぼえてゆく。
こころに“”をつくり、整理することで感情を“理解したフリ”をする。

オトナになる”って、そういうことなのかもしれない。

けど、そんな“オトナ”になりたいヤツなんて、いない。
少年は苛立ちをぶつけ、血まみれになって現状を否定する。
欲情する気持ちにながされて、甘い果実に舌をのばす。

オトナの気持ちで読むと、彼らは痛い。痛々しい。
だけど熱い
とてつもなく、熱いのだ。


家庭に居場所がないと少年が出会った、ガードレールの上を歩く少女
熱病加速装置02 熱病加速装置03
・「熱病加速装置」より

道路をへだてるガードレールの上
少女は何を思うのか。

私はさ──

負けそうな気持ちになると、ここに来るの。

「右に落ちたりしないし、安全な左にも逃げない」って。

暗示をかけるの。

自分はずっと、このままだって。

右の崖下にも、安全な左の道路にも、降りない。
彼女は安全を担保に冒険してるわけじゃないんだ。

道路に降りる”とは、現状を認めること。
整理できない感情を“きめつけ”て無理矢理におさめること。
そんなのは、いやだ。
安易になにかをきめつけて、わかったフリなんかしたくない。
このままで、いたい。

彼女は幼いかもしれない。
だけどものすごく“ナマな思考”に、ドキッとした。
ボクが長らく忘れていた、あのころの感覚なんだきっとこれは。

思春期の“あの感情”を詰めこんだ作品集。
けっして爽やかといえない、痛みと熱が伝わる作品集である。



熱病加速装置
posted with amazlet at 09.12.10
元町 夏央
小学館

   23:24 | Trackback:1 | Comment:0 | Top

施川ユウキ「え!? 絵が下手なのに漫画家に?」は自意識こじれまくりのエッセイまんが

石ノ森章太郎は“萬画宣言”というのを残してるんですが、そのひとつに下記の言葉がありまして。

・萬画は万画(よろずが)です。あらゆる事象を表現できるからです。

(石ノ森章太郎オフィシャルウェブサイトより引用)

これって“絵が描ける”人の発想だと思うんですよ。
ボクみたいなロクに絵が描けない人は、あらゆる事象どころか目の前の自転車さえ不可能です。

…でも。
絵が下手といわれてもまんが家になれる人はいるわけで。
そこがまんがの面白いところです!!

【あらすじ(というか内容)】
“絵が下手”と自覚しつつもまんが家になれた、その軌跡を描いた表題作ほか、カラスヤサトシとの恋バナ限定対談、単行本未収録のデビュー作「がんばれ酢めし疑獄!!」などを収録。
作者初のエッセイまんが集である。

絵が下手なのにまんが家01
施川ユウキ「え!? 絵が下手なのに漫画家に?」(秋田書店)

友だちも彼女もいない。
自分はずっと1人で生きて、死んでいくんだと思ったり。
鏡を見て「なんでこんな生き物がこんな所にいるんだ?」と思ったり。
ホームレスを見て「同じ世界に住む人だ、安心したぜ!」と思ったり。
絵が下手なのにまんが家02
自意識こじれすぎ。
こじれたというか“こんがらがってしまった”感もありますが。w

だけど…。
自分の意識と逃げずに“格闘”してきたからこそ、いまの作者があると思うんですよ。

自分の気持ちを言葉にして、外見や外界との違和感を探ったり。
言葉そのものの意味を考えたり。
こういう作者自身の“生き方”が、絵に頼らない作風を生み出したんじゃないかなと思うのです。
絵が下手なのにまんが家03

作風というモノは「何が描けるか」ではなく

むしろ「何が描けないか」によって決まるんじゃないでしょうか!?

(『週刊少年チャンピオン』'09年48号より※コミックス未収録)

人より優れた部分を“個性”と思いがちだけど、劣った部分だって“個性”なんだ。
画力をあきらめ、自分の得意な部分で勝負する。
そこで、いままで“格闘”してきた“言葉や思考”がオンリーワンの武器になったのである。


…という感じで興味深い内容だった。
 
さらに作者のファーストキス体験も収録!
絵が下手なのにまんが家04
そして、カラスヤサトシとの恋バナ限定対談(すげえ無茶振り)も!
いろいろ楽しめる1冊になっています。

カバー下の新人賞受賞作の選評も見逃すな!w



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