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一色登希彦(ほか)「九段坂下クロニクル」は、建物の記憶を閉じ込めた佳作オムニバス

【あらすじ】
東京都千代田区神田神保町3丁目に実在する、九段下ビル(今川小路建築)。
1927年(昭和2年)に建ったそのビルを舞台に、時代を超えて描かれる4つの物語。
一色登希彦、元町夏央、朱戸アオ、大瑛ユキオ、4人の作家が描き出す歴史と人間の物語である。

九段坂下クロニクル01
一色登希彦(ほか)「九段坂下クロニクル」(小学館)


ビルが出来たばかり、昭和初期の少女ふたりの友情を描いた「ごはんの匂い、帰り道」(元町夏央・作)
戦中、戦後をまたぐ時代、ビルで古本屋を営む青年と妖艶な美女の数奇な運命を描いた「此処へ」(朱戸アオ・作)
現代を舞台に、ビルの一室で14歳の少女と出会うふたりの少年を描く「ガール・ミーツ・ボーイズ」(大瑛ユキオ・作)

この3つの作品をつなぐのが「スクリュードライブ -らせんですすむ-」(前後編)(一色登希彦・作)である。
前編、後編をコミックスの最初と最後に配置。
ひとつの大きな物語としてまとめあげる効果をもたらしている。


まんが家を目指すテツヤは、九段下ビルの一室を仕事場とするまんが家のアシスタントをしている。
ある日、テツヤは先生から“コルク抜き”を探してくるように言いつけられる。
だが時間は深夜、お店は開いていない。
テツヤは夜の町をさまよい、その途中、ビルから“天の声”を聞く…。
九段坂下クロニクル02
まんが家を目指し、アシスタントをするテツヤ。
だが原稿も佳境の中、別の用事をいいつけられるってことは“戦力外”ってこと。
是が非でも“結果”(栓抜き)を持ち帰らなくては居場所がない
必死になるテツヤに、“天の声”は話しかける。
“まんがを描きな”と…。

人の成長は、らせん階段のようなのかもしれない。
真上から見たら、同じところをグルグル回ってるように見える。
だけど視点を変えれば、上へ上へとあがっているのだ。

結果が出ない者にとって、“努力”なんて同じところをグルグル回ってるような感覚だろう。
けど重ねた努力の分だけ、見える風景は変わっているはずなんだ。
もがきながら歩き続けるテツヤに、そんなことを感じました。


ちなみに作者の一色登希彦は、この九段下ビルに仕事場を構えていたことがあるという。
もしかしたら、かつて作者も旧い建物がもつ“気配”から無言の励ましをもらっていたのかもしれない。

“九段下ビル”という、いまにも朽ち果てんとする建物。
その記憶を“物語”という現実とは違った形で世の人々に植え付ける。
それは、建物の“気配”になにかを感じた作者なりの、“恩返し”と考えるのは…ロマンチックすぎるだろうか。

九段坂下クロニクル
posted with amazlet at 09.12.18
一色 登希彦 元町 夏央 朱戸 アオ 大瑛 ユキオ
小学館


ちなみに、Googleマップで九段下ビルは見られます。
九段下ビル(Googleマップ)

今はネットによって外壁が守られているみたいです。
取り壊しになってしまう前に、一度観に行ってみたい建物です。
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